Special Issue

プロシップ 総合固定資産管理を中国やASEANで展開 ワールドワイドの普及に向け海外事業を強化

2017/03/23 09:00

週刊BCN 2017年03月20日vol.1670 第2部掲載

 固定資産分野に特化したソフトウェアソリューションを長年に渡って提供し続けるプロシップは、大連と上海の現地法人を通じて中国でのビジネスを展開している。また、SIパートナーを通じてASEAN諸国にもソリューションを提供している。同社のビジネスに関連するワールドワイドの動向や海外戦略などについて、山口法弘・取締役執行役員兼海外ビジネス営業本部本部長と巽俊介・FS営業本部部長に聞いた。

35年の歴史をもつ「ProPlus」グローバル企業を中心に実績

山口法弘
取締役執行役員
FS営業本部
兼海外ビジネス営業本部
本部長

 プロシップは、システムコンサルティング会社が前身という経歴をもつIT企業。1970年代にソフトウェア開発を手がけるようになり、以降、会計に関する高度な知識やノウハウを活かして主に固定資産分野のパッケージシステムを開発している。主力は、グローバルに事業を展開する大企業を中心に4200社の企業グループで導入されている総合固定資産管理ソリューションの「ProPlus」だ。この分野では35年以上の歴史をもち、日本をはじめとした各国の制度対応と機能充足度はとくに自信があるという。

 「ProPlusの大きな特徴は、異なった複数の会計基準にもとづく帳簿を、リアルタイムかつ精緻に管理できること。国ごとに償却制度が大きく異なるなかで、現在では24か国の税務標準に対応している。全世界を一律管理するためのERPでは、こうした対応が困難なため、さまざまな国に事業を展開するグローバル企業に好評だ」と、山口取締役は説明する。

 プロシップも近年、海外事業を拡大しつつある。2012年頃からは中国を中心に実績を伸ばし、その後タイやインドネシアを中心にASEANへの展開を拡大。16年末時点で16か国107法人がProPlusを導入している。「市場としては、ASEANで大きな存在となっているタイやインドネシアだけでなく、最近はフィリピンやベトナムなども好調。今後もASEANを中心に市場は伸びていくと考えており、当社としてはさらに力を入れていく。現状のユーザーは日系現地法人が主だが、世界的にみて競争力のあるプロダクトだという自信があり、日本以外のグローバル企業にも販売を拡大していきたいと考えている」(山口取締役)という。

 日本発で海外企業に売れているソフトウェアは非常に少ないが、ProPlusは日本企業が求める緻密な処理をベースとしていることがアドバンテージになって販売を伸ばしている。各国の制度に対応していく過程では数々の課題もあったが、それを乗り越えたことで大きな強みを手に入れた。山口取締役は、「現状の107社に足かけ4年で到達したが、17年度の目標は、さらに100社へ展開することだ。十分勝算はある。企業がグローバル展開を進めていくうえでは、現地の税務対応でERPにおける固定資産の扱いの問題に直面するため、補完ソリューションとしてProPlusのニーズが生じるからだ。とはいえ現状では、デリバリーに課題も感じている。ASEAN現地法人に多いのは、日本の本社が主導するパターンで、われわれにとって手堅い事業だが、現地での直接営業により力を入れていく必要がある。とくに、海外での事業展開を加速されている日系SIerにとってProPlusは新たな商材として使えると思うので、ぜひこの日本発のソリューションを一緒に展開していただきたい」とアピールする。
 

日本でIFRS採用が増加 IFRS16リースの製品対応版も2017年1月にリリース

巽 俊介
FS営業本部部長
IFRS推進室室長

 制度面では国際財務報告基準(IFRS)も重要な存在だ。直近では16年1月にIFRS16リースが公表され、借手のリース契約は原則すべてオンバランスにすることになる。

 これはリース取引の多い企業にとっては、劇的に業務を変える影響がある。これまでオフバランスすなわちバランスシートに記載する必要がなかったリース物件・物品について、そのほとんどをオンバランスにするため、多数の営業車をリースしている企業や、多店舗、多拠点展開をしている企業は業務プロセスの変更やシステム改修など大きな影響が出ると考えられる。強制適用となるのは19年度からと残り2年間の準備期間があるものの、大きな変更であることからその影響を早めに見積もり、対応に着手する必要がある。

 加えて、実はIFRS適用企業以外にも影響がおよぶ可能性もあると、IFRS推進室室長でもある巽部長は指摘する。「かつて、08年に日本でリース会計基準の改正があり、一部のリース契約はオンバランス化が必要となった。この背景にはIFRSとのコンバージェンスを進める目的があったが、今回のIFRS16に伴い、改めて日本とIFRSでは大きなギャップが生じてしまった」という。

 そのため、過去と同様に日本の制度も追随することは時間の問題である。「その成り行きに関しては監査法人も注目しており、業務設計などのコンサルティングニーズが拡大すると考えているようだ」と、巽部長は話す。そこで、プロシップでは業界に先駆けて17年1月30日にIFRS16対応版をリリースした。

 今後のIFRS市場において山口取締役は、「日本国内のIFRS適用済み、および適用予定会社は16年末で128社と数は多くないが、まだ、今後の適用を検討している企業は200社ほどある。グローバル展開のなかで必要を感じて適用しているケースも多く、またM&Aなどを駆使しスピーディな事業展開をする企業にはのれんが非償却であることなど、メリットが大きいため、今後も適用企業は増え続けていくだろう」と捉えている。そのうえで、「IFRSを適用するのは大企業かつグローバル企業が中心であるため、グループ企業を含めて長いつき合いが期待できる。そこにもわれわれが貢献していきたい」という考えを、山口取締役は示している。
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外部リンク

プロシップ=https://www.proship.co.jp/