Special Issue

日本マイクロソフト CSPのビジネスチャンスを拡大するWindows 10 Enterprise E3 in CSP

2017/06/22 09:00

週刊BCN 2017年06月19日vol.1682掲載

セキュリティをキーワードにSMBの開拓を促進

 日本マイクロソフトが「クラウドソリューションプロバイダー(CSP)プログラム」に追加した「Windows 10 Enterprise E3 in CSP」。月額760円で1ユーザーから契約できるなど、SMB(中堅・中小企業)を強く意識した提供形態であり、高度なセキュリティを備えた最上位のWindows 10へのアップグレードを訴求できる。CSPプログラムを利用するユーザーにWindows 7/8.1からWindows 10への無償アップグレードも提供。CSPパートナーによるビジネスチャンス拡大を強く後押しする。

SMBでも必須となるセキュリティ対策の強化

古川淳一
マーケティング&
オペレーションズ部門
Windows&デバイス本部
Windowsコマーシャルグループ
エグゼクティブプロダクト
マネージャー

 従来、マイクロソフトのCSPプログラムでは、Microsoft Azureをはじめ、「Office 365」やCRMの「Dynamics 365」、ID管理、デバイス管理、データ保護などをまとめた「Enterprise Mobility Suite(EMS)」を対象としていた。それが2016年9月から新たにサブスクリプション型の「Windows 10 Enterprise E3 in CSP」が加わったことで、CSPパートナーはOSからアプリケーションまでのトータルソリューションの提供が可能となった。

 Windows 10 Enterprise E3 in CSPは、法人向けWindows 10の最上位版にあたる。特徴は、最近になって大きな課題となっている標的型攻撃をはじめとする最新のセキュリティ脅威に対応する機能を備えたエディションであること。標的型攻撃による機密情報の抜き取り、偽サイトへの誘導、PCの乗っ取り、さらにセキュリティ対策を無効化するマルウェアの登場など、攻撃は年々、高度化・巧妙化している。また、特定の会社や組織をターゲットとして、グループ会社や取引先など、親会社に比べてセキュリティ対策のレベルが低いと思われる子会社や中堅・中小企業を狙い、踏み台とするような手口も後を絶たない。加えて、悪意のある情報漏えい、メール誤送信、データ機器の盗難や紛失といった内部リスクも増加しており、新たな対策が求められている。

 「顧客の個人情報や取引情報などの漏えいは経済的な損害だけではなく、社会的信用の失墜をもたらす。場合によっては、企業の存続をも左右するほどの大きな影響を及ぼす。それだけに機密性の高いデータの安全性をいかに確保するかは、大企業だけでなく中堅・中小企業にとっても、今や必須の経営課題になっている。だが、専任のシステム管理者やセキュリティ担当者がいない中堅・中小企業にとって、大きな負担となっている。こうした課題に手軽に対処できるようにしたのが、Windows 10 Enterprise E3 in CSPだ」と古川淳一・マーケティング&オペレーション部門Windows&デバイス本部Windowsコマーシャルグループエグゼクティブプロダクトマネージャーは力説する。
 

米国防総省も認めるWindows 10のセキュリティ

 Windows 10 Enterprise E3 in CSPは、マルウェア感染を防止する高度なセキュリティ機能「Device Guard」を装備している。万が一、感染した場合も「Credential Guard」によって、ID/パスワードなどの資格情報を攻撃者が手を出せない場所に隔離して、PCの乗っ取りによる情報の抜き取りを防止する。また、デバイスのロックダウン機能により、社外に持ち出したPCでも、利便性を損なわず安全に業務することができるというメリットもある。

 2016年2月には、米国防総省が「生き残るためには早急なイノベーションが必要」として、同省内のすべての機関に対して、1年以内にモバイルデバイスも含めた省内400万台のWindows PCを、Windows 10の最上位版にアップグレードすることを発表。最大の目的は、セキュリティ対策が念頭にあるとされている。Windows 10は、米国防総省のお墨つきを得たセキュアなOSとなったわけだ。

 従来であれば、「Enterprise」は大企業向けWindows OS で、中堅・中小企業の多くは「Pro」を選択するのが普通だった。だが、高度化・複雑化する攻撃型の脅威が大企業だけの問題ではなくなっている現在、中堅・中小企業も「Pro」よりも高度なセキュリティ対策機能を搭載するEnterpriseを選択すべき時代になっているといえる。
 

 「Windows 10 Enterprise E3 in CSPは、たとえ規模は小さくても、クレジッドカード番号や社会保障番号などの個人情報や、知的所有権といった顧客の機密データを扱う企業や士業に向けたセキュリティ強化対策として最適と考えている。実際、月額760円(参考価格)で1ユーザーから契約できるなど、中小企業が手軽に利用できるプランとなっている。また、自社内に専任の管理者がいない場合でも、CSPパートナーによるサポートを受けながら、安心して展開していくことができる」と古川エグゼクティブプロダクトマネージャーはメリットを説明する。

CSPパートナーのサービス領域と収益を拡大

 一方、CSPパートナーにとって、Windows 10 Enterprise E3 in CSPはサービス事業領域と収益の拡大につながる魅力的な商材といえる。とくに、「Windows 10 Enterprise」はプリインストールモデルがないため、PC本体の販売に追加することで、月額課金による収益が期待できる。もちろん、販売には販売額に応じたインセンティブが用意されている。Office 365など他のクラウドサービスや自社ソリューションに追加することでさらなる収益の拡大を図っていくこともできる。

 古川エグゼクティブプロダクトマネージャーは、「Windows 10 Enterprise E3 in CSPの強みはセキュリティ機能だが、中堅・中小企業にサイバー攻撃というキーワードを前面に出して提案しても、まだ自分たちには関係ないと思われてしまうことも少なくない。だが、マイナンバー対策のために、担当部署やマイナンバーを管理するPCの1台からでも、『Windows 10にアップグレードしてみませんか』など、より身近に提案するとセキュリティに対して再認識してもらえるようになる」と説明する。

 また、例えば「マイナンバー対応PC」という独自のアプライアンスモデルなどによって、Windows 10 Enterpriseのセキュリティ機能だけではカバーできない部分を補うセキュリティ製品や、管理製品とともに販売するといったケースも考えられる。「セキュリティをきっかけにクロスセル、アップセルを通じて、ユーザー企業のIT管理全般を支援するという提案につなげていけば、将来にわたってユーザーを囲い込むことができるようになる」と古川エグゼクティブプロダクトマネージャーはアピールする。

Windows 10への無償アップグレードを提供

 16年7月29日まで提供されていたWindows 10への無償アップグレードキャンペーンで、個人ユーザーの多くはWindows 10にアップグレードした。ところが市場調査などによると、法人は現状でも7割近くのユーザーがWindows 7/8.1を使用しているといわれている。これは、専任の管理者がいない中堅・中小企業ならではの展開の難しさも一因となっている。

 こうしたユーザーのWindows 10へのアップグレードを促進するため、日本マイクロソフトでは今年1月にWindows 10 Enterprise in CSPユーザーに向けて、Windows 7/8.1 Proを搭載したデバイスに対するWindows 10 Proへの無償アップグレードを提供すると発表した。

 「Windows 7/8.1の法人ユーザーは、まだまだ多い。それだけにCSPを利用する企業ユーザーに向けた無償アップグレードは、Windows 10を訴求する大きなチャンスになるはず。新しいWindows 10デバイスを購入していないユーザーや、無償アップグレードキャンペーンを逃してしまったユーザーに向けて、ぜひ、この新しいWindows 10へのアップグレード特典を勧めてほしい」と古川エグゼクティブプロダクトマネージャー。

 なお、この特典を使用してアップグレードしたデバイスに関して無期限のライセンスが付与され、デバイスと関連づけられる。そのため、ユーザーが対象のCSPプログラムのWindows 10クラウド サブスクリプションの契約を終了した場合でも、アップグレードしたWindows 10 Proはそのまま継続利用できる。今後、年2回のペースで実施されるメジャーアップデートを永続して受けて、常に最新の状態で使用できる。
 

 「Windows 10 Enterprise E3 in CSPは、従来の売り切り(パッケージ販売)からサブスクリプションモデルへと転換し、パートナーの方々のクラウドビジネス拡大に向けたトランスフォーメーションを促進する。まずは、1ユーザーからでも契約を獲得して、そのナレッジを積み重ね、さらなるビジネスの拡大につなげていってほしい」と古川エグゼクティブプロダクトマネージャーは強調する。
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日本マイクロソフト=https://www.microsoft.com/ja-jp