エプソン販売は、自社の技術拠点に全国のサービスパートナーを集めて実施していたハンズオントレーニングを効率化するため、スマートグラス「MOVERIO BT-300」を活用しながら、ブイキューブのグループ企業であるパイオニアVCのテレビ/Web会議システム「xSync Prime Collaboration」と組み合わせて、技術拠点とサービスパートナー間での遠隔トレーニングを実現した。複数拠点で同時にトレーニングを実施することも可能となり、人の移動にかかる時間とコスト削減にもつながっている。

ハンズオンからスマートグラスの活用へ、新しい教育の手段を模索

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エプソン販売の技術サポート1部
インフラサービス・本社
藤園英秋氏

 プリンタ、複合機、プロジェクター、PCなどの販売を手がけるエプソン販売は、全国に100か所以上のサービス網をもつ。これまでは、全国のサービスパートナーのCE(カスタマエンジニア)に対する複合機のハンズオントレーニングを、東京・日野事業所で実施していた。

 「全国から日野事業所に集まってもらって、専任の講師がトレーニングを実施していた。そこで得た知識を、それぞれの会社に戻ってから水平展開していたのだが、遠い場所からトレーニングに参加する場合は移動とトレーニングで実質2日間の拘束になっていた。しかも、参加メンバーは各社が選抜した優秀な人材。販売パートナーから、『拘束時間の長さを何とかできないか』という声が出ていた」と、技術サポート1部インフラサービス・本社の藤園英秋氏は振り返る。

 パートナーの拠点に講師が出向くこともあったが、講師の移動、機材の運搬、場所の確保など、準備にかなりの手間を必要としていた。そこで、トレーニングを効率化するため、講師の操作をビデオ録画して、配布するということも行っていたが、ビデオでは伝えきれないこともあり、本当に理解できているのか判断できなかったという。

 「以前から社内で導入していたテレビ会議の活用も検討したが、これは当社の社内システムという点で、やはりCEの方々に最寄りの当社支店に足を運んでもらう必要があった。加えて、講師もハンズフリーにならないため、細かい作業などが映像としてうまく伝えられない、というもどかしさも感じていた」と藤園氏は課題をあげる。

映像の鮮明さ、レスポンスの速さ、双方向のフラットな関係を評価

 こうしたハンズオントレーニングの実施における課題の解消を目指すなか、目をつけたのが自社製品のスマートグラスを活用することだった。MOVERIO BT-300にWeb会議システムを組み合わせることで、全国のパートナーの拠点と接続。講師は日野事業所からハンズフリーの状態で、自身の目線によるリアルな操作の様子を伝えることができると考えたのである。
 
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スマートグラス「MOVERIO BT-300」

 具体的に検討を開始したのは2015年秋のことで、5~6社の遠隔コミュニケーションのシステムについて、詳細な比較や検証を進めていった。最終的にパイオニアVCのxSync Prime Collaborationを採用することになったのは、「映像が鮮明で細かなネジの様子までもリアルに伝えられること。もちろん音声もクリアであり、マニュアルなどの資料を画面に表示する際も、レスポンスがとても速くストレスがなかった」と藤園氏は語る。

 もう一つ、大きなポイントになったのは他社のシステムが講師側と各拠点側が親子のような関係で固定されているものが多かったのに対し、xSync Prime Collaborationはフラットであることだった。「これにより、講師側と各拠点のCEが双方向でやり取りする場合だけでなく、各社の拠点同士でのやり取りにも問題なく活用できるようになった」と藤園氏は評価する。

全国パートナーへのリアルな遠隔トレーニングが実現

 MOVERIO BT-300とxSync Prime Collaborationの組み合わせによる新しい技術トレーニングは、2017年3月にスタートした。現在は、日野事業所の講師側が使用するのと同様のセットをパートナーの拠点に貸し出して、実機を使用したWeb会議によるトレーニングを実施している。
 
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MOVERIO BT-300を装着して講師がグラスで実演
 
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手元の映像を生徒側のPCに鮮明に見せることができる

 「日野で開催するハンズオントレーニングには、これまで限られた選抜メンバーしか参加できなかった。それがWeb会議と合わせてプロジェクターを活用することで、拠点の多くのメンバーが同時に講師の目線の映像を見ながら情報を共有できるようになった。しかも、双方向のため、講師は受講者それぞれの操作が確認できるため、習熟度がわかってその場で的確なアドバイスができる。以前なら、各CEが自社に持ち帰って水平展開していた手間と時間も大きく短縮できるようになった」と、藤園氏は効果を説明する。

 当初は戸惑いがあるかとも考えていたが、CEからはテレビ会議よりもはるかにわかりやすいとの声を聞いており、CE同士のコミュニケーションも活発になっているという。

 現在は、xSync Prime Collaborationを20ライセンス保有しているため、講師側を含めて最大で10拠点で同時にトレーニングすることができる。「Web会議によるトレーニングは、その気になれば客先に出ていたCEが会社に戻るその日の夕方からでも開催できるため、緊急対応も可能となる。次のステップは、トレーニングだけでなく顧客先など社外での保守作業に活用することを目指したい。また、CEの技術の向上とともに、働き方の改革、つまりできるだけ出張を無くして時間を効率的に使うといった取り組みも進めていきたい」と、藤園氏は将来を見据える。