カンファレンスを締めくくった主催者講演では、週刊BCNの谷畑良胤・編集委員が「これだけは知って! DX時代に必須のテクノロジー ~顧客提案で響くビジネスモデルとは?~」と題して、エンタープライズIT市場の一大トレンドとなったデジタルトランスフォーメーション(DX)の先進事例を紹介した。

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週刊BCN
谷畑良胤
編集委員

 谷畑編集委員はまず、今冬に開催予定の平昌五輪について触れた。「韓国政府が、五輪史上最高レベルでITを駆使した大会にすべく、非常に力を入れている」として、ARやGPSを活用したモバイルアプリにより、来場者のスムーズな移動や観戦をアシストしたり、選手にセンサデバイスを装着させ、緊張状態や体調などをVR/ARアプリを通じて観客も共有できるような仕組みを提供する、エンタテインメントへのIoT活用の構想があることなどを説明。「2020年の東京五輪でこうした取り組みを超えられるのか、まさに会場におられる日本のITベンダーの皆さんの力が重要になる」と訴えた。

 さらに、中国のアリババグループが実現を目指す無人スーパー「TAO CAFE」については「米アマゾンの『Amazon GO』を追いかけて、中国でもRFID、顔認証、FinTech、IoT、という先進テクノロジーを駆使した取り組みが出てきている」と説明。また、同じく中国発の自転車シェアリングサービス「Mobike」が日本でサービスをローンチしようとしている話題や、人体にITが入り込んで生態系とデジタル技術を融合させる“第4のプラットフォーム”として、「Augmented Humannity」の事例も近い未来に登場するというIDCの予測なども紹介した。

 IoTの先進事例の一つとして、「北海道でトラクタをセンサデバイスとして活用した農業IoTが流行しつつある」と説明し、通信技術への目配りの重要性も指摘。「IoTソリューションの提案に、LoRaWANやSigfoxといった規格に代表される省電力・遠距離通信型の通信方式LPWA(Low Power Wide Area)の活用も意識する必要がある」と語った。

 このほか、RPA、APIエコノミー、データアグリゲーションといったキーワードを取り上げ、ITベンダーの新しいビジネスモデルがさまざまな領域で生まれていることを、事例を交えて解説した。まとめとしては、「顧客の要望に応えるだけでなく、新しい技術、トレンドをしっかり消化し、新しい価値をベンダー側から提案していくことが、DX時代のITビジネスでは重要になる」と結んだ。
 
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ふくおかクラウドアライアンス
柴田健二
ビジネス開発副委員長

 また、主催者講演では、福岡県情報サービス産業協会(FISA)の企画事業「ふくおかクラウドアライアンス」のビジネス開発副委員長を務める柴田健二氏(麻生教育サービス取締役部長)もゲストとして登壇した。ふくおかクラウドアライアンスは、FISA会員であるIT企業と、ユーザー企業、官公庁などの交流を促進して相互理解を深め、クラウドを軸にした地域協力型の新しいビジネスの下地をつくることを目的に、2012年8月に発足した。

 柴田氏は同アライアンスについて、「お客様のほうに目を向け、一緒に新しいビジネスを考えていくという活動は、IT関連の業界団体では珍しい取り組みだと思っている」と特徴を説明。セミナーの開催などを中心に活動しており、昨年は参加者が900人を超えたことなどを紹介。福岡のIT市場を盛り上げるべく、新たなメンバーの参加を歓迎する意向も示した。
 

クラウドで成長中の注目ベンダー6社が登場
週刊BCN編集部による公開取材も

 全セッション終了後の懇親会では、福岡県内に拠点を置き、クラウドビジネスなどで急成長中の注目ベンダーを招き、週刊BCNの公開取材も行った。自社ビジネスの状況や福岡都市圏のIT市場のポテンシャルについて、各社のコメントを紹介する。
 
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クラウディアジャパン
マーケティング部マネージャー 安部直樹氏


「セールスフォースのCRM/SFAビジネスを核に、順調に成長できている。当社の8割は地元・福岡のお客様だが、年平均130%~140%は成長しており、まだまだ成長のポテンシャルはあると感じている」
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グローバルブレインズ
第1システム本部インフラサービスグループグループ長 岩崎寿史氏


「Azureをはじめさまざまなクラウドに、オンプレからシステムをマイグレーションする『FL.OPS(フルオップス)』というサービスが非常に好調。サーバーの償却期間が終わるサイクルでクラウドへの移行を検討するユーザーが着実に増えてきている」
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さくらインターネット
セールスマーケティング本部 営業部 九州ユニット 神野拓氏


「スタートアップの活動が盛り上がっていることなどもあり、クラウドサービスやデータセンター事業の拡大が見込めると考え、福岡に今年2月、拠点を設けた。認知度も上がり、着実にビジネスも拡大している」
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スカイディスク
CSO 末永善彦氏


「デバイスからデータストレージ、AIを使った分析まで、ワンストップのIoTサービスを提供しており、順調に成長できている。福岡は、ITビジネスの市場というだけでなく、人材獲得の面でも非常に魅力的な市場」
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Fusic
事業推進部門PMOチーム 船越将一氏


「従来主力のAWSのビジネスはこれまで同様注力していくが、IoT、AIの自社商材にも注力しており、開発者向けにIoTのデバイスをシミュレーションする『mockmock』というサービスをリリースした。福岡でも、IoT、AIの案件は着実に増えてきている」
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福岡情報ビジネスセンター
代表取締役 武藤元美氏


「昨年までUOS理事長を務めていたが、同8月にDevOps推進協議会を立ち上げた。福岡でも、ユーザーのデジタルビジネスへの意識は高くなってきている。日本のIT業界もユーザーのビジネススピードに合わせて、システム開発していくべき」