FinTechや顔認証、AI分野にビジネスを拡大

 ウェブ認証強化対策・情報漏えい対策・不正コピー対策などのセキュリティソリューションを提供する飛天ジャパンのビジネスが好調だ。国内の金融機関や官公庁を顧客に、多くのセキュリティデバイスを提供するほか、今では高度なセキュリティ技術をベースに、FinTech、顔認証、AI、IoT分野へとビジネスを拡大している。ビジネスの実績および戦略とパートナー施策を、李戦海・代表取締役と浜崎和彦・マーケティング戦略室室長に聞いた。

企画開発から製造まで
ワンストップで提供

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李戦海
代表取締役

 飛天ジャパンは、国内の金融機関、官公庁、大手企業を中心に500社以上の顧客をもつ。主なものでは、メガバンクのインターネットバンキング向けにワンタイムパスワードトークンを提供。官公庁向けには、情報漏えい対策(入口・出口)を中心とした各種のソリューションを提供。また、日本を代表する大手ECサイトの決済システムにも製品が採用されている。

 「当社は『使えるセキュリティをお客様へ』というスローガンを掲げている。というのも、今や世の中のさまざまなサービスがセキュリティなくして成り立たないにもかかわらず、現状のセキュリティは難しく、使いにくく、高価であることが少なくないからだ。こうした問題の解決を目指して、より多くのお客様が利用できるよう製品やサービスを開発・販売してきた」と李代表取締役は説明する。
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浜崎和彦
マーケティング部
マーケティング戦略室
室長

 例えば、2016年5月にリリースしたクラウド型認証サービス「らく認」は、ワンタイムパスワード認証、スマートフォン認証、QRコード認証、指紋・顔などの生体認証に対応した国際標準規格「FIDO」(Fast IDentity Online)を利用したデバイス認証や生体認証、SMS認証といった6種類の認証方式に対応。ユーザーが使いやすい認証方式を選択し、PC、スマートフォン、タブレット端末などのデバイスから各種のオンラインサービスが利用できる。高いセキュリティを実現しながら、安価で使いやすさを兼ね備えた中小企業にも採用しやすいサービスとなっている。

 「また、現在クラウド版を開発中の情報漏えい防止ソリューションは、中小企業庁のものづくり補助金の対象に選定されるなど、高い評価を受けている」と浜崎室長は語る。

 セキュリティ分野における同社の強みは、ソフト開発だけでなく、ハードのモノづくりの能力を兼ね備え、製品・サービスの企画開発から製造までをワンストップで行っている点だ。親会社の中国飛天は、中国をはじめ世界中の200以上の銀行に億単位のセキュリティデバイスを提供している。飛天ジャパンはそのモノづくりのノウハウ・技術を活用し、大量生産による安価な提供を実現している。

 「だが、われわれは中国飛天の単なる販売代理店ではない。製品の輸入販売だけでなく、ソフトを自社開発するなど、独自の価値を付加している。日本市場のニーズにあった製品を提供するため、コンサルティングやOEM/ODMによる提供にも力を入れている。また、輸入した製品は当社側で全品検品を実施しており、技術的な問題を解決するサポート窓口も設置して、日本の品質レベルを担保している」と李代表取締役は強調する。
 
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売り上げ10億円以上が目標
人員とパートナーを拡大する

 現在、同社が力を入れるのがセキュリティ技術をベースとした、FinTech、顔認証、AI、IoTなど新分野でのビジネス展開だ。

 FinTechについては、3年前にスタート。店舗や交通機関、流通業などに向けたモバイル決済用端末や認証サービスなどを提供しており、FinTech関連ビジネスは「約8億円になる売上全体の半分を占める」までに急成長しているという。

 「2020年の東京五輪に向けて外国人旅行者がさらに増加するが、小売店の限られたレジでは対応できないケースも出てくる。そこでモバイル決済端末が威力を発揮する。従来のクレジットカード決済に対応したPOS端末は1台数十万円もするが、当社の製品は数千円単位からと桁違いだ」と李代表取締役はメリットをアピールする。

 AIについては、例えば、膨大な操作ログのなかから怪しい挙動を検出して管理者に通知する。管理者の不在時でも、業務上必要な相手に重要データが含まれたファイルを送付する許可を判断する、といった活用が考えられるという。このほか、無人店舗での実証実験にも参加しており、顔認証をもとに決済や最適な商品・サービスを広告表示するプロジェクトが進行中だ。

 「決済や認証サービスは、中国は日本よりも普及している。そこで培った技術、実績に加えて、国際基準などに適応するためのノウハウがある」と浜崎室長。

 飛天ジャパンは、前述の「らく認」をはじめ次世代認証FIDOに準拠したセキュリティキーなど、世界標準の製品を複数ラインアップ。FIDO Allianceのボードメンバーでもあるという。

 「FinTechやAIは今後、大きく成長する。そのビジネスを拡大していくため、関連する分野や各業種に強いパートナーの方々と組みたい。同時に、技術、営業、マーケティング、品質管理それぞれの人員を増やして、現在20人の2倍以上の体制にしていく。18年は、売り上げとして10億円以上を目指す」と李代表取締役は力を込める。