Special Issue

DevOps 開発と本番リリースサイクルの高速化が DX時代のビジネス価値を創出

2018/03/29 09:00

週刊BCN 2018年03月26日vol.1720掲載

DevOps Assistサービス

 早く新機能をリリースしたい開発部門と、新機能のリリースを慎重に進めたい運用部門。当初は、その両者の関係を最適化するという文脈で語られがちだった「DevOps」だが、現在ではより広範な意味で活用されている。背景にあるのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)。ビジネスのデジタル化が従来のビジネスを破壊し、イノベーションを起こす。そこでは、ソフトウェアやサービスの導入スピードが勝負を左右する。DevOpsが注目されるのは、そのためだ。ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)は、「DevOps Assistサービス」として、DevOpsを実践するためのサービスを体系化。DevOpsへの取り組みを全方位で支援している。

時代が求めるDevOps

 ビジネスを効率化する手段として活用されてきたITは、IoTや人工知能(AI)、ロボティクスの進展によって、市場での競争力確保に不可欠となっている。それはつまり、IT活用がビジネスの価値創出に直結することを意味する。一方で、市場における影響力を保持するには、競合他社の先を行くビジネスのスピードが求められる。ビジネスを支えるITも、柔軟かつ迅速な対応が不可欠だ。そこで求められるのが、DevOpsである。

 DevOpsは開発(Development)と運用(Operations)を最適化し、ソフトウェアやサービスのリリースを迅速化することを目的とするため、何かと組織論に注目されがちである。もちろん、それも重要だが、DevOpsでは開発手法に加え、プログラム開発以降の検証やデプロイなどの作業の自動化も必要となる。
 

ICT事業本部MD本部
技術統括部第1技術部
テクニカルフェロー
加藤 学氏

 こうしたことから、ソフトバンクC&SはDevOpsへの取り組みを支援するため、DevOps Assistサービスを提供している。ICT事業本部MD本部技術統括部第1技術部テクニカルフェローの加藤学氏は、「開発からリリースまでのプロセスを自動化するツールなど、DevOpsの取り組みを最適化するソリューションは数多くある。当社では、DevOps製品を提供するだけでなく、より有効に活用するためのプロフェッショナルなサポートも提供している」と、DevOps Assistサービスに取り組む背景について説明する。ちなみに、DevOps製品で引き合いが多いのは、コンテナ管理プラットフォーム「Docker」と、ソフトウェアの開発から運用のライフサイクル全体に対応する開発プラットフォーム「GitLab」だという。

DevOps Assistサービス

 DevOps Assistサービスでは、「DevOps支援サービス」「DevOps製品提供」「DevOps Hub」という三つのカテゴリによって、ソフトウェア開発のライフサイクルを支援している。
 
 

 DevOps支援サービスは、現況分析からシステム設計、製品トレーニング、実装サービスまでを提供。DevOpsに特化した専門家が担当するプロフェッショナルサービスとして、ツールの実装に加え、トレーニングなども実施している。

 二つ目のDevOps製品提供は、ライセンスとサポートを提供する。「DevOps製品は多種多様であることから、現場に最適なものを組み合わせて、全体を俯瞰した提案ができるようなポートフォリオをつくっている」と加藤氏。ディストリビュータの強みがここに生きている。
 

ICT事業本部EM本部
ビジネス企画室
デジタルマーケティング課
中村真実氏

 三つ目のDevOps Hubは、DevOps関連の情報を提供するポータルサイトである。なかでも注力しているのが、DevOpsの事例だ。「DevOpsは公開されている事例がほとんどない。DevOpsの取り組みは多種多様で正解がないというのが、その要因の一つだと考えている。そこでDevOps Hubでは、ビジネスの価値を高めるソフトウェア開発の取り組みに焦点をあてて、DevOpsを実践している企業にインタビューを行っている」と、ICT事業本部EM本部ビジネス企画室デジタルマーケティング課の中村真実氏は語る。このほか、DevOps Hubでは有識者のブログやDevOps製品情報など、DevOpsに関連するさまざまな情報を提供している。

SIerもDevOpsと無縁ではない

 基幹システムなどの企業内で活用するシステムは、ウォーターフォール型が用いられるため、DevOpsとは無縁のイメージを受けやすい。実際、DevOpsの適用は、ウェブサービスやモバイル向けアプリなどが中心。そのため、基幹システムなどの開発を行っている日本のSIerの多くが、あまり手がけていない分野である。

 「DevOpsの意味を広く捉えてほしい。ウォーターフォール型や、スクラムに代表されるようなアジャイルな開発現場においても、ソフトウェアを作る意義を見直すことは、エンドユーザーのビジネスの価値も同時に向上させることが多い」と、加藤氏はSIerにとってもDevOpsは重要な取り組みになると考えている。また、ソフトバンクC&Sでは、SIerがエンドユーザーにDevOpsを提案できるように、DevOps Assistサービスによって積極的に支援していく考えだ。
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外部リンク

ソフトバンク コマース&サービス=https://cas.softbank.jp