高齢化が進む日本において、介護・福祉従事者の生産性向上は喫緊の課題だ。現場では介護と直接関係のない業務による負荷が大きく、それが離職の一因ともいわれている。この状況を変えるべく、エヌ・デーソフトウェア(NDソフトウェア)は介護福祉施設向け業務アプリケーション「ほのぼのシリーズ」を活用した取り組みを推進し、さらに広範なデータ連携・共有を可能とする「IoT接続プラットフォーム」の実現を目指している。そのシステムの核となるデータベース(DB)に採用され、同社の革新的な取り組みを支えているのが自己管理型RDBMS「SAP SQL Anywhere」だ。

SAPは新しい取り組みの実現に不可欠なパートナー

大野 聡
常務取締役
ソリューション事業部長

 山形県南陽市に本社を置くNDソフトウェア。同社が開発・販売するほのぼのシリーズは、全国4万超の介護事業所が導入し、業界トップクラスのシェアを誇る。ほのぼのシリーズは介護保険がスタートした2000年当初から、組み込みDBにSAP SQL Anywhereを採用してきた。

 「介護・福祉の現場は、必ずしもIT分野に精通しているわけでなく運用にも手間をかけられない。その点、SAP SQL Anywhereは専門の技術者が不要で、小規模から大規模まで幅広い事業者をカバーできることが他社DBにない大きなメリットだった」と、大野 聡・常務取締役ソリューション事業部長は語る。

 加えて、大野常務取締役が評価するのがデータの継続性だ。「20年近くの間に何度もバージョンアップされてきたが、データの継続性は完全に担保されている。日々、蓄積していくデータの活用を考えていたわれわれにとって、これは非常に重要なことだった」と話す。

 同社は2017年にSAPと新たなOEM契約を結び、関係性を強化した。その狙いは、これから新たに手がけていこうとしているさまざまな取り組みについて、技術面からのアドバイスや提案を期待してのものだったという。

すべての高齢者が幸福感のある生活を実現することを目標に

 NDソフトウェアは現在、介護・福祉業界でイノベーションを実現すべく革新的な取り組みを進めている。その一つが、ITの活用によって介護・福祉従事者の生産性を向上し、介護の質向上と残業時間の削減を図ることだ。

 現場では、書類作成、連絡・引継ぎなど直接介護に関係ない業務が多くを占め、「就業時間の6割が費やされている」(大野常務取締役)。そうした負担が介護・福祉従事者の離職の一因であるともいわれている。

 こうした状況をIT活用によって改善するため、数年前からほのぼのシリーズユーザーの介護福祉施設で実証実験をスタート。その結果、残業ゼロ、離職者ゼロを達成したという。次のフェーズでは、他社製品ユーザーにも対象を拡大する予定だ。「近い将来、25万人もの介護・福祉従事者が不足すると懸念されている。この取り組みがワークライフバランス向上の一つの解決策になるだろう」と、大野常務取締役は期待を込める。

 もう一つの取り組みが、データ連携・共有をさらに進め、高齢者に対して個別サービスを提供するオープンな情報プラットフォームを実現することだ。他社製品を含めた各種デバイスが接続できるIoT接続プラットフォームに、高齢者のバイタルデータや一般情報を収集。個人情報の使用許諾を受けたうえでパートナー企業がデータ共有することで、介護の枠を越えてさまざまな行政サービスとも連携させた健康管理、見守り、買い物支援などのサービスを個人ごとにカスタマイズして提供できるようにしていく。
 
IoT接続プラットフォーム「ほのぼのIoTクラウド」システム構成

 「現在、デバイスの接続検証を進めており、今秋には正式にリリースする予定だ。SAPにはプラットフォーム実現に不可欠なDBとの連携で、的確なアドバイスをもらった。今後も、データの安全性担保とオープンなデータ共有という目的を両立するうえでもSAPの協力を期待している」と大野常務取締役。さらに、「これから『SAP Cloud Platform』の活用も積極的に推進する。最終的には、すべての高齢者が幸福感のある生活を実現できることを目標にしたい」と意気込みを示している。