日立製作所は「日立ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)ソリューション」を拡充し、同社のサーバー「HA8000V」シリーズにニュータニックスのHCIソフト「Nutanix Enterprise Cloud OS」を搭載した「日立HCIソリューション for Nutanix」の販売を開始した。日立のHCI戦略やNutanixを活用した独自ソリューションなどについて、日立製作所と日立システムズに聞いた。

 
HA8000Vシリーズ

Nutanixのサポートは必須だった

 「国内HCI市場は急速に拡大しており、2016年から22年までの平均成長率は約20%と見込まれている。その中で、ニュータニックスとヴイエムウェアは2強として、合わせてシェア7割を占める。それだけに両社の製品をカバーすることは、当社がHCIソリューションを強化していく上で必須だった。実際、お客様からもニュータニックス製品の取り扱いやHA8000Vシリーズでのサポートについて、多くの問い合わせを受けていた」と、日立製作所の環泰彰・HCI拡販センタ副センタ長は語る。
 
日立製作所
環 泰彰
ITプロダクツ統括本部
プラットフォーム
エンジニアリング本部
HCI拡販センタ
副センタ長

 日立HCIソリューション for Nutanixは、専用モデルとして認証を得たハードとソフト・サービスによって構成される。日立のサーバー HA8000VシリーズにNutanix Enterprise Cloud OSをプリインストールしたサーバーセットに加え、ノード間スイッチや、HCIの導入から運用までをワンストップでサポートする導入サービスやサポートサービスを提供している。提供されるモデルは、拡張性重視の標準タイプ(1Uの1ノードモデル)のほか、今後、ストレージ重視の大容量タイプ(2Uの1ノードモデル)が追加される予定だ。

 日立HCIソリューション for Nutanixは、標準でハイパーバイザーの「AHV」が含まれているため、別途ライセンスの追加が必要ないというメリットがある。仮想マシンの管理を容易にする運用管理ツール「Prism」も標準で搭載されており、別途構築したり冗長構成を取る必要もない。

 同ソリューションは、AHVをはじめ、今後は「VMware vSphere ESXi」のサポートも予定しており、ユーザーの環境に応じてハイパーバイザーを選択できるようになる。

 日立とニュータニックスは、今回のソリューション提供に合わせて、プラットフォーム・ベンダー・ディストリビューション契約と認定サポートパートナー契約を取り交わした。ニュータニックスは、HA8000Vシリーズを対象にNutanix Enterprise Cloud OSの動作を保証し、ハードウェア互換性リスト(HCL)にHA8000Vシリーズの認定構成を掲載。さらに、日立サポート360連携による保守やサポートサービスの一括窓口を実現したことで、ワンストップのサポートをユーザーに提供する。
 

HCIソリューションでナンバーワンに

 日立HCIソリューションの特長は、HCI製品の提供だけでなく、導入前のアセスメントから構築・運用まで、ユーザーをトータルに支援することだ。

 日立システムズでは、アセスメント、導入サービス、DBマイグレーションなど、HCIの導入・構築サービスをワンストップで提供。運用フェーズでもサーバー監視、ネットワーク監視、セキュリティー監視など、安心・安全を担保するサービスをそろえる。

 「さらに、ハードの販売だけでなく、用途別など独自のソリューションをプリインストールした形で提供していくことを考えている」と日立システムズの赤坂勉・産業・流通インフラサービス事業部第二システム部第二グループ主任技師。
 
日立システムズ
赤坂 勉
産業・流通インフラサービス事業部
第一インフラサービス本部
第二システム部 第二グループ
主任技師

 Nutanixはスケールアウト系のシステムに特に向いており、VDIなどでスモールスタートし、ニーズに合わせて拡大していくような用途に最適だという。「また、管理ツールのPrismに追加されたアプリケーションのライフサイクル管理とクラウドオーケストレーション機能を提供する『Calm』、SDS型ネットワーキング機能の『Flow』といった上位レイヤー機能と連携するため、検証を進めたい」と赤坂氏は展望を語る。

 HCIの用途は、VDIをはじめ、ファイルサーバー、バックアップ、仮想化環境の統合など多岐にわたる。今後は基幹系など、よりミッションクリティカルなシステムへの適応も進んでいくとみられる。

 「将来を見据え、IoTやAIを絡めたソリューションを考えていきたい。例えば、IoTなら中央管理型より、各拠点で簡単にシステムをつくって展開できるものや、必要なリソースに応じてスケールイン/アウトが容易なものが求められる。こうしたエッジ用途でのHCI活用も今後増えていくと考えている。そこでの可用性の担保、データ保護についても考えていく必要がある」と環氏は話す。

 また、環氏はNutanixが従来の仮想化基盤と異なる点について、次のように解説する。

 「Nutanixの機能を十分に活用していくためには、仮想化基盤を定期的に最新にしていく必要がある。それによりお客様の業務システムとハードウェア、プラットフォームを分離することができる。お客様は業務に集中でき、日立は適切なプラットフォームを提供していくことができる」

 日立では、ユーザーに最適な情報システムという視点で、いかに付加価値を提供するかをHCIソリューションの一番の差別化ポイントと捉えているという。

 「お客様の課題を解決するために、お客様と共に考え、ニーズにお応えしていく。HCIもそれを実現する手段の一つであり、従来の外付けストレージのシステムや、クラウドを含めてラインアップをそろえて対応する。ニュータニックスはHCI市場をけん引するリーダーの1社であり、日立のハードやサポートとの組み合わせで優れたソリューションの提供が可能になった。今後も、ニュータニックスと一緒にHCI市場をさらに拡大していきたい。お客様から『HCIなら日立に相談しよう』『HCIソリューションのトップベンダーだ』と言っていただけることを目指す」と環氏は力を込める。