TISのデータセンター(DC)の運営を支える重要な役割を担うのが、ITプラットフォームの運用拠点「マネージドサービスコントロールセンター(MSCC)」だ。MSCCは、24時間365日体制によるシステム監視やサービスデスク機能を備えることでセンターの安定稼働を実現、マルチクラウド化が進むITシステム環境の運用を請け負っている。マルチクラウド環境への移行を促進するとともに、災害や障害の発生時にはITマネージドサービスの側面からユーザー企業の事業継続をサポートするTISの「エンタープライズ・クラウド運用サービス」と、その中核となるMSCCの運用サービスを紹介する。

MSCCで24時間365日の運用サポートを提供

運用の複雑化を解決するTISの運用サービス

 企業におけるクラウド活用が本格化する中、従来のオンプレミスやハウジング/ホスティングなどを含むマルチクラウド化の流れが加速している。一方、複数の環境が混在することで、ITシステムの運用は複雑化。多くの企業ではこれをいかに制御し、運用していくかといった課題に直面している。

 TISでは、こうしたマルチクラウド環境の運用面での課題解決に向けて、エンタープライズ・クラウド運用サービスを提供。クラウドとセキュリティーを組み合わせた事業ブランド「Platform Square」の主要部分の一端を担うサービスとして、顧客が求める運用を提供している。

 エンタープライズ・クラウド運用サービスは、「クラウド利用ガイドライン」と「統合運用管理基盤」「マネージドサービスコントロールセンター(MSCC)」の三つで構成される(図1参照)。
 

 クラウド利用ガイドラインは、クラウドを適切に利用するためのガイドライン作成を支援するコンサルティングサービス。ガイドラインに沿ってシステムをクラウド化することでシステムを安全に移行させることができる。

 統合運用管理基盤は、複数のITプラットフォームを統合的に管理できる運用管理基盤。TISが独自に開発したもので、自社DCやTISのプライベートクラウド「TIS Enterprise Ondemand Service(T.E.O.S.=テオス)」、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」といった他社のパブリッククラウドなど、複数のITプラットフォームサービスの統合的な運用を実現している。

 MSCCは、運用情報を一元的に管理するコントロールセンター。TISのプラットフォーム運用サービスの中枢神経を担う司令塔の役割を果たすものだ。

技術革新がクラウドの大きな魅力 急な仕様変更にも対応

 マルチクラウド化するITシステムを運用する上での課題として、「クラウドの技術が進展するスピードの速さと、それに伴うクラウド側の急な仕様変更がある」と、TISのプラットフォームサービスコンサルティング部エキスパートの中澤義之氏は話す。
 
TIS
サービス事業統括本部
プラットフォームサービス事業部
プラットフォームサービスコンサルティング部
エキスパート
中澤義之氏

 中でもAWSやAzureは、驚異的な勢いで機能拡張や技術革新を続けており、そのスピードが両サービスの魅力となっている。しかし、これは仕様変更や新サービスへの置き換えサイクルが早いことも意味しており、「ユーザーが自力でそのスピードにキャッチアップしていくのは容易ではない」と中澤氏は指摘する。

 エンタープライズ・クラウド運用サービスでは、AWSやAzureの機能拡張に関する情報を継続して把握するとともに、仕様変更による影響範囲を素早く算出。これに伴うシステムの改修費用の見積もりや期限内の対応といった一連の業務を、TISがユーザーに代わって請け負うことができる。

 TISは、国内システムベンダーに先駆けてAWSを活用したシステム構築(SI)ビジネスに進出。2015年にはAWSのプレミアパートナーに認定され、国内で8社しかいない最上位ビジネスパートナーとして数多くの案件を手掛けてきた。18年8月にはエンタープライズ・クラウド運用サービスの公式メニューにAzureも追加。こうした実績を基に、クラウド利用ガイドライン作成のコンサルティングサービスや統合運用管理基盤の構築を実現している。

 ユーザー企業は近年、デジタルビジネスの拡大によって売り上げや利益を一段と伸ばす取り組みを加速させている。デジタル領域におけるシステム開発は、最新のクラウドネイティブの開発手法を取り入れるケースが多い。デジタルビジネスのシステムは自分たちで開発するという“内製化志向”が強まる傾向も見られるが、中澤氏によると、システム運用に関しては「24時間対応の人員確保も困難で、“デジタルビジネスで売り上げや利益を伸ばす”という本来目標から外れる」との理由から、TISにアウトソーシングするニーズが高まっているという。

“見せる運用”を業界に先駆け実践 災害時の迅速な復旧も支援

 TISのエンタープライズ・クラウド運用サービスを特徴付けているのが、事業継続計画(BCP)をITマネージドサービスで支援するMSCCだ。オンプレミスやTISのDC、パブリッククラウドなどのITプラットフォームから、PaaS/SaaSといったミドルウェアやアプリケーションまで、各レイヤーにおける運用や情報セキュリティーに関する情報を一元的にMSCCへ集約し、24時間365日体制でのシステム監視やサービスデスク対応を行っている(図2参照)。
 

 東京と大阪に拠点を置くMSCCは、17年8月に大幅刷新し、防犯ガラス越しでコントロールセンターが実際にどのように運用されているのかを見学できるようになった。“見せる運用”はTISが業界に先駆けて実践。従来は警備や情報セキュリティー上の関係からMSCCは原則非公開としてきたが、運用の最前線を見学できるようになったことで、「ユーザーの経営者や担当者がMSCCの役割をより実感してくれるようになった」と、TISインテックグループでITシステム運用を担うTISシステムサービスのプラットフォームオペレーションサービス部グループマネージャーの柳沢昌志氏は話す。
 
TISシステムサービス
マネージドサービス本部
プラットフォームオペレーションサービス部
グループマネージャー
柳沢昌志氏

 MSCCの内部は、「Monitoring & Control」「Service Desk」「Secure Operation」「Decision」の四つのエリアで構成されている。
 
マネージドサービスコントロールセンター(MSCC)はガラス越しに見学できる

 Monitoring & Controlでは、24時間365日体制でシステムエンジニアを配置。多様なITプラットフォームを一元監視し、スピーディーな保守対応を実現する。Service Deskでは、運用サービスの総合窓口機能として、あらゆる問い合わせに対応する。Secure Operationでは、厳重なアクセス制御と監視を実施したセキュリティーエリア内で、顧客システムの変更作業や障害復旧などの保守対応を支援。Decisionでは、システム変更作業や障害発生時に、他の拠点や社外と情報を連携しながら迅速かつ最適な意思決定を行う。

 直近1年間を振り返ると、地震や台風、洪水、高潮、停電と、日本列島は多くの災害に見舞われている。企業経営に不可欠な事業継続への対策や、災害復旧の力量が改めて試される結果となった。18年9月に起きた北海道胆振東部地震では、北海道全域で大規模停電が発生。都市部でも実に60時間にわたって電気が止まる事態となり、実際、TISにITシステムの運用を委託するユーザー企業の中にも、北海道に置いてある端末やサーバーが一時停止した。

 MSCCでは、全国のどこでどんなシステムに障害が発生しているのかを一元的に管理できる。これにより当時、北海道で今、何のシステムが停止しているかなど、復旧に向けた状況をリアルタイムで監視。最新の状態を取りまとめてユーザー企業にレポートし、ユーザーはこの情報を基に「事業への影響を最小限にとどめるための施策を迅速に打てるよう支援できた」と柳沢氏は胸を張る。

 大阪府北部地震(18年6月)や台風21号(18年9月)では鉄道ダイヤが大幅に乱れたほか、関西国際空港の一部が高潮で水没し、空路にも大きな影響が出た。MSCCは東京と大阪の2拠点体制で運営しており、大阪で災害が起きたときは大阪のMSCCの一部機能を東京へ切り替えて実施することで事業継続に備えている。

 災害に強い建物内部にあるMSCCの設備に問題はなかったが、「周辺地域への影響や、公共交通機関の混乱に備える必要があった」(柳沢氏)ためだ。東京と大阪は相互に同期やバックアップを行う仕組みになっており、万一に備えて大阪の業務を東京へ切り替えることで通常と変わらないサービスの提供ができた。

 MSCCは、24時間体制でユーザーのITシステム運用に関する情報の一元的な管理を行うとともに、厳重なアクセス制御や監視下でシステム変更作業や障害復旧をユーザーに代わって行うことも可能だ。いざ災害が起きたときには、問い合わせに対応するとともに、刻々と変化するシステム運用の情報をとりまとめてユーザーにレポート。ユーザー企業の事業継続や災害復旧の支援に重要な役割を果たしている。