基調講演には、「宇宙ビジネスの衝撃~21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ~」と題して、宇宙ビジネスコンサルタントとして活動するスペースアクセスの大貫美鈴代表取締役が登壇し、宇宙ビジネスの最前線を解説した。

大貫美鈴
代表取締役

 宇宙開発ビジネスには米テスラのイーロン・マスクCEOが設立したスペースXや、グーグルやアマゾンといった巨大IT企業など、民間企業が相次いで参入し「民間の商業活動としての宇宙開発へとシフトしてきている」という。宇宙開発の黎明期は国の公共投資予算が大半を占めていたが、近年では民間のサービスビジネスが急速に拡大。世界の宇宙関連市場のうち、民間サービスの割合がすでに半数に達しているとみられる。

 例えば、複数の小型人工衛星が協調しながら編隊飛行することで、あたかも一つのシステムのように動作する「衛星コンステレーション」は、民間企業が参入しやすい領域として注目されている。大型で重量のある人工衛星を打ち上げるよりも、小型衛星を複数個まとめて打ち上げたほうが費用も安く済む。協調して動作する衛星群をセンサー代わりにしてさまざまな情報を集める「宇宙IoT」としての活用も期待されている。

 国内でも民間企業による宇宙関連ビジネスが活発化している。さくらインターネットは、経済産業省の委託事業の一環で、国の人工衛星から得られた情報のオープンデータ化に参加。さくらインターネットが持つ大規模なストレージを生かしたプラットフォーム「Tellus(テルース)」を構築した。衛星データを分析、活用するさまざまなツールや教育訓練、衛星データコンテストといった成果発表の場を提供している。

 システム開発のコアは、2018年11月1日に本格サービスが始まった準天頂衛星システムで“日本版GPS”とも呼ばれる「みちびき」によるセンチメートル級の超高精度測位に対応した受信機を開発。同様の取り組みが民間企業で活発になっている。

 みちびきから配信される補強信号を利用することで、センチメートル精度の測位ができる。従来はセンチメートル級の精度を出すために、地上の基地局と組み合わせなければならかったが、それらが不要になる。使い勝手が良くなるため、みちびきを活用した衛星測位ビジネスは、着実に活性化していくと考えられる。

 民間による宇宙関連サービスは、今後も拡大が見込まれている。大貫氏は、「宇宙関連ビジネスは、決して遠い空の上の出来事ではない」と、民間企業にとって身近な存在になりつつあると話した。