総務省の飯村由香理・情報流通行政局情報流通高度化推進室室長は、「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」をテーマに、テレワークをめぐる政府の取り組みについて紹介した。

飯村由香理
情報流通行政局
情報流通高度化推進室
室長

 飯村氏は、テレワークの活用は「就業者、企業、社会のそれぞれにメリットをもたらす」と強調。特に企業にとっては、生産性の向上や優秀な人材の確保、離職防止、BCP(事業継続計画)などの点で有効だという。内閣府の「働き方・教育訓練等に関する企業の意識調査」(2018)では、テレワークを積極化している企業の6割以上で労働時間が減少したとの結果が出ているほか、総務省の「平成29年通信利用動向調査」では、テレワーク導入の「効果があった」と答えた企業の割合は8割を超えている。

 一方で、テレワークの普及には「まだ拡大の余地がある」と飯村氏は指摘する。平成29年通信利用動向調査によると、テレワークを導入済みまたは導入予定としている企業は18.2%にとどまり、導入済みの企業でも、利用者数が従業員の5%未満の企業が51.4%と、半分程度しか利用していない現状がある。テレワークを導入しない理由として飯村氏は「『テレワークに適した仕事がない』とする声が圧倒的に多い」と言い、テレワークの普及には、「まずはテレワークを体験してもらう」ことが有効だと語った。

 政府では、テレワーク推進に向けた取り組みの共有や施策の検討・推進などを行っている。特に平成30年度の施策として飯村氏は、「働き方改革セミナー」の開催や「テレワークマネージャー派遣事業」「テレワーク先駆者百選」「ふるさとテレワーク」などを紹介した。

 中でも17年から開催している「テレワーク・デイ」では、18年は「テレワーク・デイズ」として7月23日から27日にかけて開催し、1682団体、30.2万人と前年を大きく上回る数の企業・人々が参加した。期間中は東京23区への通勤者が延べ約41万人減少したり、残業時間が45.3%減少したりと、交通混雑の緩和や業務効率化・コスト削減などに効果があったという。

 今後はテレワークの全国的な普及拡大を目指し、企業の業種や規模、特性などに応じたテレワークの導入事例や課題、効果の周知を行っていくという。飯村氏は講演の締めくくりに、テレワーク導入を検討する企業に向けて「導入自体が目的ということではなく、生産性の向上や業務の効率化、人材の確保など経営戦略のためのツールとして活用してほしい」と語った。