ワークフロー専業ベンダーのエイトレッドが提供する「ATLED Work Platform(AWP)」は、ワークフロー機能をSaaSとしてOEM提供するものだ。これを使うことで、SIerやISVは自社ソリューションにワークフロー機能を組み込み、自社ブランドのまま提供できる。エイトレッドは、AWPを基盤としたパートナーエコシステムを拡大していく方針で、実際にAWPを活用して自社ソリューションの強化を実現した企業も出てきている。その中から今回、ソフトブレーンとNDIソリューションズの2社に、AWPを採用した背景や効果について話を聞いた。

ワークフロー機能の搭載で、自社ソリューションに付加価値を

あらゆる業務に根差したワークフローを実現

 エイトレッドは、ワークフロー専業ベンダーとして、2003年にリリースした「X-point」をはじめ、その上位版となる大規模・中規模企業向けの「AgileWorks」(09年)、小規模企業向けの「X-point Cloud」(11年)といったワークフロー製品を提供。これまでに国内2500社以上が導入した実績を持つ。

 さらに、17年5月には、SIerやISV向けのサービスとして、ワークフロー機能をマルチテナント型SaaSとして提供する「ATLED Work Platform(AWP)」を発表。X-pointとAgileWorksで培ってきた経験と知見が詰め込まれたエイトレッドのワークフロー機能を、ソフトウェアを開発・販売する企業がOEMで自社製品に搭載、提供できるようにした。

 AWPについて、経営戦略室室長の平田圭氏は「ワークフローのSaaSをOEMで提供するというビジネスモデル自体が差別化要素であり、他社にはない強みだ」と強調する。

 「当社は直接販売をしておらず、パートナー販売でビジネスを展開している。その上で今後、パートナーの方々とより深くビジネスを進めていくためには、パートナー各社が強みとする業務に合ったワークフローを提供していく必要があると考えた。OEM提供することで、“ワークフロー”という汎用的な言葉から脱却し、あらゆる業務シーンに根差した用途で活用してほしい。そのために、さまざまなソリューションとつなぐことができるAPIを用意した。業種・業務ノウハウに長けたパートナーの方々のソリューションに採用していただき、業務ソリューションとしてパートナー様とともにビジネスを拡大していく」と、平田氏はAWP提供の背景を説明する。
 

CRM/SFAのワークフロー機能を短期間で強化

 ワークフロー機能をOEMで提供するということは、ISVからみると、自社で新たに開発することなく、自社ソリューションにワークフロー機能を搭載、強化できるということだ。それを評価してAWPを採用したISVの1社が、ソフトブレーン。同社が開発・提供するCRM/SFAツール「eセールスマネージャー」は、国内で5000社を超える企業が導入しており、ESP総研が実施したユーザー調査では総合満足度ナンバーワンに選ばれた実績を持つ。※

 同社では、営業イノベーション事業のコンセプトとして「『仕組みづくり×型づくり』で顧客の売り上げの最大化と働き方改革に貢献する」ことを掲げている。営業現場における働き方改革で最も重要なポイントは「営業の生産性向上」にあるとの考えから、営業のコンサルティングやトレーニングを提供するとともに、ITツールやデバイスを活用した業務の効率化を支援することで、営業部門の売り上げ拡大に貢献してきた。その柱になるITツールが、CRM/SFAのeセールスマネージャーである。

 eセールスマネージャーにエイトレッドのAWPを採用した背景について、執行役員営業1部管掌兼営業企画・支援部部長の柿崎太郎氏は次のように説明する。
 
ソフトブレーン
執行役員 営業1部管掌
兼 営業企画・支援部 部長
柿崎太郎氏

 「eセールスマネージャーには以前からワークフロー機能を搭載していたが、申請帳票へのデータ連携は限定的だった。これを改善し、顧客情報や案件情報などのデータを基に各種申請業務が分断されることなくシームレスにつながったワンシステムとして提供し、営業部門だけでなく全社的に利用可能なソリューションとすることが狙いだった」

 ワークフロー機能を強化するにあたり、自社で新たにワークフロー機能を開発することも検討したが、自社だけではリリースまでに時間がかかると判断し、専門ベンダーへ任せることにした。中でもエイトレッドは「開発スピード、品質、ノウハウに関して当社が求めるレベルでサポートしてくれる」(柿崎氏)と評価し、AWPの採用を決定した。

 AWPを活用した新ワークフロー機能の開発は、18年春にスタート。開発とテストの作業は18年内に完了し、eセールスマネージャーの最新版「Revision7」が19年1月4日に登場するのに合わせて、オプションで利用できる「eセールスマネージャーRemix ワークフロー」として正式リリースした。価格は、ワークフローオプションライセンス(CRM/SFA+ワークフロー)で1ユーザー当たり月額850円(税別)。AWPで作られたワークフロー機能だけを追加するワークフロー専用ライセンスが1ユーザー当たり月額500円(税別)という設定だ。

 eセールスマネージャーRemix ワークフローの代表的な活用シーンは、商談が終わったらすぐに見積書を作成して営業管理部門や営業管理者に回すことだ。「紙の見積書とそっくりの画面になっているので、そのまま印刷してお客様に提出することもできる。eセールスマネージャーとのシナジーも高く、営業管理者はそのお客様との商談履歴を見て『このお客様はどのような企業か』『今回はどのような商談経緯で見積もりに至ったのか』を確かめながら決裁の可否を決めることができる」と柿崎氏は説明する。

 AWPでワークフロー機能を強化したことで、「今までなかなかリーチできていなかった営業部門以外での利用シーンが描きやすくなり、eセールスマネージャーが全社的に使っていただけるツールになった」と実感しているという。ソフトブレーンは現在、直接販売を中心にビジネスを展開しているが、今後はSIerとの連携も進める方針で「自社のソリューションと組み合わせてeセールスマネージャーをご提案いただくことができるように、製品を強化していきたい」と柿崎氏は語る。

RPA管理ツールにAWPを組み込みロボットの作成から稼働までを管理

 SIerにとってAWPは、自社が強みとするノウハウを生かす形で新たなサービスを開発することができるというメリットがある。RPAソリューションを提供するNDIソリューションズは、ソフトウェアロボットを管理・統制する機能を、AWPを使って実装しようとしている。

 同社は先端技術系、現業部門系、IT部門系の3領域でITソリューションを提供。先端技術系の一つに位置付けられたRPAソリューションでは、RPA製品の「AutoMate」や「UiPath」を使って、定型業務をソフトウェアロボットで自動化するソリューションを実現している。
 

 問題は、デスクトップ型RPAがあまりにも簡単に導入・運用できてしまうために、企業として行うべき管理や統制がおろそかになりかねないということだった。
 
NDIソリューションズ
サービス事業本部
第2開発部 第3開発室
柴田康史氏

 「情報システム部門の責任者や経営層の方々から、『RPAが正しく使われているか心配だ』という声が数多く寄せられていた」と、NDIソリューションズのサービス事業本部第2開発部第3開発室の柴田康史氏は語る。事業部門が自身の裁量でRPA製品を導入して業務で使うようになると、「ソフトウェアロボットの作成を誰が許可したのか」「ソフトウェアロボットによる処理の正しさを誰が検証したのか」「ソフトウェアロボットが実際にどのように稼働しているのか」といったことが分からなくなってしまうからだ。

 もちろん、同社が販売するサーバー型のRPA製品であれば、これらの管理・統制ニーズに対し、ある程度は応えることができる。ただ、サーバー型RPA製品は高価なために現業部門の予算で購入することが難しく、ソフトウェアロボット開発にかかわるプロセス統制の領域の機能を実装することもできない

 そこで、NDIソリューションズはRPA製品とRPA管理ツールを組み合わせたソリューションでこれらの課題を解決しようと、18年6月に企画。同社が社内で使用しているX-pointの提供元であるエイトレッドにワークフローのエンジン部分だけを提供してもらえないかと問い合わせた。「ワークフロー開発を専門としない当社が開発するよりも、専業ベンダーのものを利用したほうが早くサービスインできる」(柴田氏)と考えたからである。

 このような経緯でAWPの存在を知ったNDIソリューションズは、エイトレッドが用意したテスト環境で試した上で、RPA管理ツールのソフトウェア部品として採用することに決定。「ソフトウェアロボットの登録から承認までのプロセスの管理と、業務フローそのものをシステム化する簡易BPMの二つにAWPのワークフロー機能を利用することにした」と柴田氏。

 RPA管理ツールのパイロット版は19年3月までに完成の見通し。同社グループ内で先行利用を開始したうえで、4月には同社グループの販社を通じた一般向け販売を開始する計画だ。なお、販売開始時に管理対象とするRPA製品はAutomateとUiPathとする予定であるが、早期にWinActorにも対応予定だという。

ワークフローのプラットフォームとしてパートナーエコシステムの拡大を目指す

 エイトレッドでは、SIerやISV向け製品となるAWPを「ワークフローのプラットフォーム」と位置付け、より多くのソフトウェア企業が参加するエコシステムとして強化していく考えだ。ソフトブレーンやNDIソリューションズをはじめ、AWPを活用するパートナーが増えてきている中、「将来的にはAWPを活用しているパートナー同士が協業してもらえるようなプラットフォームにしていきたい」と平田氏は狙いを語る。

 業務や業種の多様性を広げることも視野に入れており、CRM/SFAやRPAに限らず、ワークフローを使うシステムであればあらゆる領域にAWPは適用できるとみている。また、それと並行して、特定業種や特定業務に絞った適用事例も増やしていく方針だ。

 「あらゆる業務で必要となる申請・承認・報告・確認などの作業は、全てAWPを採用して行ってもらいたい。業種・業務のノウハウをたくさん持っているSIerやISVとのパートナーシップを拡大し、新しいサービスを共につくっていきたい」と、平田氏は意気込みを示す。

週刊BCN+ 読者アンケート
クラウドサービス構築に関するアンケート
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_atled/