リソースが限られる中堅メーカーにとって地方へのアプローチは大きな悩みの種。一方の地方企業も、働き方改革の流れの中で自社の課題に対して最適なソリューションを模索し続けている。この両者の間にある溝を埋め、マッチングすることはディストリビューターに課せられた役割の一つだと言える。全国約90カ所に事業所を持つダイワボウ情報システムが目指すのは、単にモノ売りをするだけの代理店ではない。各地域のユーザーとメーカーをつなぎ、一緒に成長できる環境を構築し、両者の“ソリューションハブ”となることだ。

メーカーの全国展開を支援

 多くのITベンダーがビジネスを展開する東京と比較して、地方は競合が少ないケースが多い。そのため、商材を検討してもらいやすい可能性が高い。

 バックアップやリカバリーソリューションを提供するネットジャパンも、地方での事業拡大を目指すメーカーの1社。営業本部本部長の佐藤尚吾・執行役員は「地方はユーザー企業のSE同士でコミュニティが形成されていることも多く、人づてで製品が広がっていくこともある。そういった意味でも地方は見逃せない市場」と強調する。

 ただ、東京に本拠地を構え、リソースをあまり持たないメーカーからすれば、アプローチしづらいというのも事実。そのような課題を持つメーカーにとって大きな戦力となるのが、全国に販売網を持つダイワボウ情報システムだ。

 ダイワボウ情報システムとネットジャパンの両社は、キッティングのコスト削減・作業効率化をテーマにしたセミナーを開催。内容は、ネットジャパンが提供するキッティングツール「ActiveImage Deploy USB」の活用法をエンジニア向けに解説するというものだ。ダイワボウ情報システムの東日本営業本部北海道・東北営業部仙台支店の佐久間大介・支店長は、「これまでトレンドに合わせたセミナーを数多く開催してきたが、キッティングサービスに関するセミナーは他社を含めてあまりなく、先駆けだった」と語る。
 
ダイワボウ情報システム
佐久間 大介
東日本営業本部 北海道・東北営業部
仙台支店 支店長

 特に、直近ではWindows 7のサポート終了に伴ってPCの買い替え需要が増大。同時に、キッティングの需要も増えている。ただ、大量のPCをキッティングするのは負担が大きく、手間を省きたいというSIerや販売店が多い。結果として、「セミナーはあっという間に人が集まり、開催後の評判も良好だった」と佐久間支店長は語る。このセミナーは、全国各地で開催し、どの地域も、満席で定員をオーバーした。ネットジャパンの佐藤執行役員は、「セミナー後、多くの参加者から問い合わせがあり、案件も増えている」とその成果を振り返る。

 また、ダイワボウ情報システムではセミナー以外にも展示会にメーカーと共同で出展するなど、メーカーの販売を強化する支援策を推進している。佐久間支店長は、「地方にはいわゆる“ひとり情シス”も多く、ユーザー企業は多くのツールを比較検討することができない。ユーザーもメーカーも、当社をうまく使ってほしい」と強調する。

次世代のディストリビューターへ

 近年、販売店やSIerの中ではモノ売りからコト売りへのビジネス変革が重要なテーマとなっている。ダイワボウ情報システムでは、その時のトレンドに合わせて重点領域を定めており、販売パートナーの状況を支援策に反映している。例えば、キッティング以外にもサブスクリプションの拡大にも力を注いでいる。

 具体的には、サブスクリプション管理ポータルの「iKAZUCHI(雷)」を販売パートナーやクラウドサービスベンダーに向けて提供しており、販売パートナーのコト売りを支援している。17年からiKAZUCHIのAPIを公開してクラウドサービスベンダーのサービスとの連携を進めているほか、19年7月にサブスクリプション型の回収代行サービスを開始。クラウドサービスベンダーと販売店が、ビジネス拡大しやすい環境を整えている。

 モノ売りからコト売りへの変革は、ダイワボウ情報システムにとっても常に取り組んでいかなければならないことで、数年前から強化を繰り返している。そのほか、ソリューション営業の人員と、それぞれの製品に詳しい人員が一緒に行動することにも取り組んでいる。これまでは、製品について各メーカーの人員がダイワボウ情報システムの営業と行動していたが、ダイワボウ情報システムの人員がその役割を果たすことで、メーカーの手間を減らしつつ、ユーザー企業に対して長期的な観点で総合的に提案できる体制へとシフトしているという。

 佐久間支店長は、「SIerに対してハードウェア構成の支援など、ディストリビューターにしか提供できない価値がある。SIerが本来のビジネスに集中できるようになるためにも、われわれのノウハウが生きてくる。ディストリビューターとして、ユーザー企業と販売パートナー、メーカーをつなぐ“ソリューションハブ”を目指していきたい」とアピールする。