Special Issue

自営できる5G、「ローカル5G」がITベンダーにもたらす商機とは

2020/02/20 11:03

【SMB向けビジネスの必須科目6】連載『SMB向けビジネスの必須科目』では、全国のSIerやIT販社が、ユーザー企業の変革をビジネスパートナーとして支えるために抑えておくべきビジネスやITのトレンドを「キーワード解説」の形で紹介していく。第6回は、「ローカル5G」を紹介する。

「ローカル5G」

 ローカル5Gとは、自治体や企業、団体などが個別に限られた場所(所有する建物や土地内)や用途で構築・活用できる5Gネットワークをいう。

 いわば、プライベートネットワークとして使う自営の5Gである。通信事業者の5Gサービスが3月から開始される予定だが、全国のインフラ整備には数年かかる。その際、エリア展開が進まない地域でも独自に5G環境を構築して運用することができる。

 建物や土地の所有者から依頼を受けた者が、免許を取得してシステムを構築・運用することも可能だが、通信事業者は支援のみで自社サービスを補完する目的で利用することはできない。昨年末に総務省が無線局免許の申請受付を開始し、これまでにNEC、富士通、NTT東日本、東京都、東京大学などが申請を行っている。

 これにより、地域や産業の個別ニーズに応じて柔軟に5Gシステムを構築できる。キャリアの5Gネットワークとは切り離されたネットワークであるため、外部ネットワークのトラフィックの影響を受けず、他の場所の通信障害・災害・電波の混雑などによって接続が不安定になることもほぼない。セキュリティ上も安全な設計となっているため、外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクも極めて低い。

 ローカル5Gの展開領域としては、スマートファクトリー(工場)、建設現場、農地、防災(河川など)、病院、ビジネスパーク、スマートオフィス、イベント会場などが見込まれている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、ローカル5Gは新たな市場として2020年に立ち上がり、2025年には3023億円、2030年には1億3398千万円の市場規模になるとし、IoT機器ではロボットやドローン、自動運転車が需要を牽引し、ソリューションサービスとしては製造分野向けが需要を牽引するとのことである。

 国が期待するのは、地方創生への貢献である。5Gがキャリアサービスの特性上、主に人口密集地の携帯電話利用者向けのインフラとして展開していくのに対し、ローカル5Gは地方の産業・ビジネスの発展、問題解決という側面からの期待値が高い。総務省も新規事業予算を確保し地方支援に注力している。

 当然地場のITベンダーにもチャンスが訪れる。個別に無線局免許を取って基地局を開設するのは難しいにしても、ネットワーク構築やローカル5Gネットワーク上で展開されるサービスを開発していくには情報通信技術が絡むので、問題解決やサービス開発において活躍できる局面は増える。ベンダーはIoTを筆頭に、5G時代を念頭に技術と発想のアップデートを意識すべきである。

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