【SMB向けビジネスの必須科目3】連載『SMB向けビジネスの必須科目』では、全国のSIerやIT販社が、ユーザー企業の変革をビジネスパートナーとして支えるために抑えておくべきビジネスやITのトレンドを「キーワード解説」の形で紹介していく。第3回は、キーワード解説のテーマである「サブスクリプション」型のビジネスを実施するにあたって、押さえておくべきワードとなる「LTV(ライフタイムバリュー)」を紹介しよう。

「LTV(ライフタイムバリュー)」

 サブスクリプションでは顧客にいかに長くサービスを使ってもらえるかが大事になってくるが、1社あるいはひとりの顧客がサービスを利用している期間(顧客ライフサイクル)に、どれだけの利益を自社にもたらしてくれるかという長期的な視点に基づいた判断指標が「LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)」である。

 サブスクリプション型のビジネスモデルでは、顧客あたりの収益性は表面的な月額料金などの売り上げの額ではなく、LTVを算出して個別に管理していく必要がある。そして、LTVの数値を踏まえて顧客ごとにアプローチを考えていく。

 LTVの算出方法はさまざまあるが、おおよそ「購買単価」×「収益率」×「購買頻度」×「契約継続期間」となり、LTVが高いほど優良な顧客、ビジネスの成功を意味する。

 LTVを高めるためには、CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)によって顧客との関係や履歴を把握するとともに、前回解説した「カスタマーサクセス」を念頭に置いて顧客の成功の実現を考え、サービスを改善していくことで顧客との関係性を高め、信頼や愛着を持ってもらえるよう努める。つまり、顧客ロイヤルティを高めていく必要がある。

 LTVを高めるための具体的なアプローチには、「価格設定を見直す」「平均購入単価を上げる(アップセル)」「購入頻度を上げる(クロスセル)」「契約期間を延ばす」「解約理由となる要素を改善する」「解約になりそうなタイミングでインセンティブを提供する」などがある。

 ただしこれらの施策は、結局顧客ロイヤルティが根底にあってこそ実現しやすくなるものである。

 現在はユーザーの元にITは行き届き、かつてのそれまで使われていなかったパソコンや複合機のような商材を売っていたような、あるいは業務で使用するためのアプリケーションを新たに開発したりソフトを販売したりしていたような時代とはITビジネスの状況が異なる。

 顧客のIT調達の動機は以前とは異なり、新製品を売るのも新規の顧客を獲得するのも難しい状況である。そういった意味合いからも個々との関係性を重視するLTVに基づいたサービス提供という考え方は、サブスクリプションビジネスという形態に限らずしっかりと押さえておくべき概念であるといえる。

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