Special Issue

“5G?私たちのビジネスには関係ない”は落とし穴

2020/02/20 11:05

【SMB向けビジネスの必須科目5】連載『SMB向けビジネスの必須科目』では、全国のSIerやIT販社が、ユーザー企業の変革をビジネスパートナーとして支えるために抑えておくべきビジネスやITのトレンドを「キーワード解説」の形で紹介していく。第5回は、いよいよ商用サービスの開始が迫ってきた「5G」をテーマに紹介する。

「5G(ファイブジー/第5世代移動通信システム)」

 5Gの特徴は、「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との接続」であり、現在の4Gと比較して通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍になる。これによってやりとりできるデータ量が増え、リアルタイムに近い通信が可能になり、携帯電話だけでなく大量のIoTデバイスやセンサーを通信網でつなげられるようになる。

 このように5Gとは、単なるスマートフォン向けの高速無線通信技術にとどまらず、社会インフラ全体の高度化を実現する基盤技術となる。適用領域として、スマート工場、自動運転、遠隔医療、遠隔操作、エンタメなどが挙げられ、それぞれの領域で実証実験が行われている。夏のオリンピック開催の時期に合わせ、対応サービスも開始される見通しだ。

 期待値が高まる一方で、不安定要素も多い。サービスエリア、機種、料金がなかなか公表されず、開始の時期に関しても、KDDI(au)とソフトバンクが3月、NTTドコモは2020年春、楽天モバイルが6月頃と発表はしているが、具体的な日時は明言を避けている。

 そもそも5Gの商用サービスが開始されても、従来の端末やデバイスが対応していないのですぐに利用者環境が一変することはない。インフラも数年かけて整備される計画で、サービスの高度化を実現するためには周辺技術の進化も必要になってくる。そのため、恐らく5Gサービスが開始されてしばらくすると、帳尻合わせのサービスばかりで期待外れという声が大きくなってくると考えられる。

 ただそのような状況は、ITベンダーにしてみれば商機である。キャリアはキラーコンテンツを待っている状況であり、各社共に5G領域でのパートナープログラムを積極的に展開している。ネットワークやクラウド、エッジコンピューティングからフロントエンドのサービスまで、タッチポイントは多岐にわたる。

 4Gが登場してモバイル化が進んだ過程では、コンシューマー側で普及したものが業務系に流れてくる形であったが、5Gでは国策とも紐づいたスマート工場や、エリアを限定した「ローカル5G」(次回解説)展開で、業務サイドからのイノベーション創出が見込みやすい状況でもある。

 ビジネス展開にあたっては、5Gというよりも5G時代になったと広く捉えるべきである。実際に、高速無線通信環境は屋外が5G、屋内はWi-Fi 6中心で進化していくという見方もある。そのうえでITベンダーはIoTやビッグデータ分析、AI、クラウド、セキュリティなど掛け算の技術や製品、サービスを提案できるように、しっかりとユーザーニーズと共に5Gの最新動向を見定めていく必要がある。

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