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理想科学工業 320ppmの高速カット紙プリンタ「VALEZUS T2100」を page2020に初出展 「全面ビットマップ検査」機能に高い注目

2020/03/19 09:00

週刊BCN 2020年03月16日vol.1817掲載


 理想科学工業は、2020年2月5~7日に東京・池袋のサンシャインコンベンションセンターで開催された印刷メディアビジネスの総合イベント「page2020」で、昨年8月に発表したプロダクションプリント向けインクジェットプリンタ「VALEZUS T2100(バレザス ティー2100)」を初出展した。320ppmの高速両面プリント機能、カット紙プリンタで初となる「全面ビットマップ検査」を可能にした検査装置ユニットなどに、来場者の高い注目が集まっていた。

安定した高速プリントと
給・排紙ユニットが生産性を向上

 VALEZUS T2100は、プロダクションプリンタ市場向けインクジェットプリンタの新ブランド「VALEZUS(バレザス)」の初となる製品で、A4サイズのカット紙に両面フルカラーで毎分320ページ(320ppm)の高速印刷を実現する。
 
「page2020」での出展ブース

 「カット紙のインクジェットプリンタで、320ppmというスピードを実現したことにご来場の方々もかなり注目されていた。これは単にプリント速度を高めるだけではなく、エア給紙方式を採用して安定的な用紙搬送を実現していること、速乾性に優れた独自開発の油性インクの採用などにより、初めて可能となった」と永山晃一・営業本部MA営業部次長兼PP営業課長は語る。
 
永山晃一 営業本部MA営業部次長兼 PP営業課長

 エア給紙は、カット紙プリンタのローラー給紙で発生しがちな用紙の重なりや、バタつきによる印字位置のズレ、印字ヘッドの汚れを極力抑えることができる。加えて、ドライヤーを必要としない速乾性に優れた独自開発の油性インクを採用。これほどの高速プリントでありながら、用紙が汚れにくく、水性インクのように用紙が波打つことが少ない。さらに、用紙の搬送経路を限りなくストレートにすることで、高速処理と安定した用紙の搬送を両立している。
 

 「インク乾燥のために専用ヒーターを搭載したり、トナー方式のような熱定着が不要なため、消費電力も少ない。今では不可欠なテーマとなった環境問題にも強く配慮した製品だと自負している」と永山次長は語る。

 VALEZUS T2100のもう一つの特徴が、新開発の給紙ユニットと排紙ユニットの採用だ。

 給紙ユニットは、4000枚積載可能な給紙機構を2機装備(合計8000枚)し、排紙ユニットにも4000枚の排紙が可能な排紙機構を2機装備(合計8000枚)する。これにより、給紙・排紙ユニットそれぞれに装備した2機の給・排紙機構を切り替えながら処理することで、連続印刷しながら用紙の補充や回収ができるようになっている。高速連続印刷と合わせて、プロダクションプリンタとしてはコンパクトなきょう体により、複数台のプリンタで処理していた業務の集約も可能になる。

 VALEZUS T2100が、主なターゲットに想定するのは、中小規模の印刷業やデータ出力業、金融業や保険業、民間企業・官公庁のインプラント印刷部門などでの帳票印刷だ。

 「あらゆる業務における働き方改革への取り組みとして、生産性向上が大きなテーマとなっている。新開発した給・排紙ユニットにより、用紙の補充や回収で印刷作業を止めずにプリント処理が継続できるので、大量印刷の作業効率は大幅に向上する。1時間に換算すると1万9200ページの大量プリントが可能だ」と永山次長。

 また、排紙ユニットにはジョガー機構と専用台車を搭載しているため、印刷の後加工工程へもスムーズな受け渡しができ、製本や封入などの後処理への負担も軽減できる。

スピードを落とさず
全面ビットマップ検査を実現

 VALEZUS T2100の展示で、もう一つ来場者の関心を引きつけていたものがある。それがオプションの検査装置ユニットだ。VALEZUS T2100の発表は昨年8月で、すでに北米と欧州で先行販売している。日本市場では仕上りの信頼性を高める検査装置ユニットを用意して投入する。

 「日本では品質とスピードの高いレベルでの両立が強く求められる。そこで用途に応じた3種の検査装置ユニットを用意し、同時リリースを目指した」と永山次長は話す。

 バーコードなどのコード情報を検査する「コード検査」、一定の範囲を読み取って元データとの整合性を判断する「スポット検査」に加え、カット紙プリンタで初となる「全面ビットマップ検査」に対応した。この全面ビットマップ検査では、元データと出力物の全面スキャン画像との整合性を判別するため、汚れ、擦れ、欠損、表裏不一致の検出など、より正確な検査が可能になる。

 「300dpiの解像度でスキャンするため、ターゲットとして考えている業界の帳票や自治体の納税関係書類なども問題なく全面検査が可能だ。もちろん、320ppmの速度を保ったままプリントできる。人の目に依存した検査と比べ、品質の担保、時間、手間のすべての面を向上、効率化することができる」と永山次長は強調する。

 今回のpage2020の出展では、SIerやデータプリントサービス事業者を中心に予想以上の反響があり、大きな手応えを感じているという。「実機で早くテストをしたいという要望も多くいただいた。ご期待に応えられるよう早期の発売を目指したい」と永山次長はアピールする。
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外部リンク

理想科学工業=https://www.riso.co.jp/