1984年に設立、PCショップ「ドスパラ」を全国展開するサードウェーブ。現在では、グループ6社に拡大し、クリエーターや学術機関の研究者に多くのファンを持つハイスペックPCの製造、販売、物流といったBTOビジネスから、システム開発、サービス開発を基盤としたICT総合企業に成長した。さらに、その成長を加速すべく、注力するのが法人事業だ。法人向け製品「THIRDWAVE Pro」を核としたハード事業だけでなく、アライアンスにも積極的でサービスやソリューションの幅を広げている。法人事業を統括する高橋良介・上席執行役員にビジネスの状況と今後の戦略について聞いた。

映像、ゲーム、文教の3分野を軸に
法人事業を展開

--まずは、サードウェーブの法人事業の概要を教えてください。

高橋 サードウェーブ自体は1984年に設立し、PCショップ「ドスパラ」で知られるコンシューマー向け事業が有名ですが、法人向けビジネスも10年ほど前から手掛けています。ただ、本当の意味で注力し始めたのはこの2、3年で、昨年度(2019年8月期)からは、営業、製品企画、マーケティング、流通(チャネル)とそれぞれ別になっていた組織を法人事業本部として統合し、体制を整備しました。
 
高橋良介 上席執行役員

--ユーザーはどのような分野が中心になりますか。

高橋 当社は元々、PCゲームユーザー、CGクリエーター、学術機関の研究者など、最高のパフォーマンス、高精細グラフィックスを求めるハイエンドユーザー向けにフォーカスしたビジネスを展開してきました。法人事業も同様に、そうした分野のお客様に向けた製品をラインアップするとともに、ご要望に応じた構成の製品を製造販売するBTOビジネスを行っています。

--こだわりのあるユーザーを対象にしているということですね。

高橋 そうなんです。例えば、文教系については、映像解析に取り組んでいる大学の研究室のほか、ビッグデータ分析を行うデータサイエンティストなどのニーズも高まっています。また、eスポーツ専攻コースを新設する専門学校が増えたことで、高いグラフィックス性能を持つPCの需要に結び付いています。eスポーツについては、サードウェーブとして「全国高校eスポーツ選手権」の主催や、高校eスポーツ部支援プログラムをスタートするなど、すそ野の拡大を進めてきました。同プログラムを利用してeスポーツ部を発足した高等学校や高等専門学校は今年6月2日時点で137校になります。

コンサルティングで
SMB向けビジネスを強化

--昨年度、特に力を入れて取り組んだ施策を教えてください。

高橋 業種特化した製品展開は、従来から引き続き取り組んでいる施策ですが、もう一つ、フォーカスしたのがSMB(中堅・中小企業)の方々に向けたビジネスの強化です。SMBの会社の相談相手となることでニーズを拾い出すという取り組みを開始したところです。これは、来期に向けてもさらに力を入れていきます。元々、ウェブサイトからの流入は多く、ウェブを通じた問い合わせが新規ユーザーの獲得や販売の拡大にかなり貢献しています。次の段階は、一度販売して終わりではなく、継続的なビジネスが展開できるよう、カスタマーリレーションシップの構築に効果的な仕組みを取り入れていきたいと思います。
 

--製品展開でも強みを発揮されているようですね

高橋 製品ラインアップに加え、完全オーダーメイドのPCを小ロットでも提供できる点は当社の大きな強みです。国内自社工場で製造することによって幅広いカスタマイズに対応でき、注文から最短2日で商品を発送する超短納期を実現しています。最新のハードウェアスペックをいち早く導入したいお客様、他メーカーには対応してもらえず、困っていたお客様から強く支持されています。また、PCに加えてソフト、通信機器などの周辺機器を組み合わせた特定業務向けパッケージやソリューションの展開にも力を入れています。当然、自社製品以外の組み合わせになるため、アライアンスも積極的に進めています。デジタルサイネージ向けのソリューションも台湾の企業とのアライアンスで実現したものです。

--来期に向けた施策や戦略を教えてください。

高橋 まずは、営業体制をさらに強化していきます。前述したSMBのシステム部門の方々にしっかりと寄り添い、良き相談相手となれるよう営業担当者の教育に力を入れていきます。幸いなことに、当社のハード製品にはコアなファンが多く、その個人としてのユーザーの方が企業においてITの担当者であることも多い。そうした方々にアプローチして、企業全体で採用されるように仕向けていきたいと考えています。

--製品展開についてはいかがですか。

高橋 ノートPCを強化します。法人向けブランディングとして「THIRDWAVE Pro」を展開しておりますが、ノートPCも新たにラインアップを投入し、長期の保証を標準装備するなど法人様のニーズに対応しております。また、15インチ液晶のボリュームゾーンを対象にした製品を投入し、拡販していきます。Windows 7 EOS絡みのニーズは今年いっぱいは需要が続くと考えているので、引き続き注力していきます。ユーザーの手間を減らすため、Windows 10への更新作業を代行するサービスも用意しています。さらに、PCの購入からアフターサービス、廃棄までのライフサイクルマネジメントを提供する資産管理サービスも開始します。

--アライアンスでは中国のInspurとの間で、国内認定代理店契約を取り交わしました。

高橋 日本ではあまり知られていませんが、Inspurはサーバー製品の出荷総額で世界シェア3位を誇るメーカーです。当社は、5月22日に同社製サーバー5機種の販売を開始しました。高性能かつコストパフォーマンスに優れたInspur製品をAIやディープラーニング、映像・CGコンテンツ製作といったハイエンドユーザーや、仮想化・組み込みなどの分野に向けて販売していきます。なお、国内展開にあたっては、国内の有力なSIerと組んでサポートも万全にしていく方針です。「THIRDWAVE Pro」のブランドで販売している自社サーバーは、ミッドレンジからエントリー層に向けた展開であることから、明確にすみ分けできると考えています。

--最後に法人ビジネスの事業目標を教えてください。

高橋 事業規模は、数年のうちに現在の2~3倍にすることを目指しています。