複数のディスプレイで構成する大型可視化システムのビデオウォール。現在は、大型製品だけでなく小規模向けの製品も登場している。サードウェーブの映像IPソリューションは、小規模店舗向けに既存製品の半額程度の低価格を実現。しかも、特別な知識がなくても、ユーザー自身がビデオウォールの映像構成や映像の差し替えができる優れた操作性を兼ね備える。「スポーツバーをはじめ、デジタルサイネージ用途、さらにこれから大きな盛り上がりが期待できるeスポーツカフェなどに向けて、パートナーと連携して拡販していきたい」と語る法人営業統括本部 営業1部の白方憲一部長に、ビデオウォール製品の販売に乗り出した経緯、製品の強み、販売戦略を聞いた。

従来の半額で実現する
ビデオウォール

 従来、ビデオウォールは複数のテレビやモニターを隣接して設置することで一つの大型ディスプレイに見せるものだった。そのため、システムも大型で各モニター間のベゼルが視覚効果の妨げになる欠点があった。

 現在のビデオウォールは、小規模な使用から大規模な用途まで幅広い製品が登場し、超狭額縁ベゼルを使用することで、ほとんど一つの大型ディスプレイと変わらないシームレスな大画面を実現している。

 また、マルチスクリーン表示により、システムを構成する各ディスプレイに個別のコンテンツを次々に映し出すことができるため、ライブ映像の多角的な中継、デジタルサイネージ、施設に設置したモニターの集中監視など、幅広い用途に対応することができる。

 「当社が昨年発売したビデオウォール製品は、従来の一般的な製品と比べて価格を半額程度に抑えた。これまで店舗などでより効果的な映像設備を導入したいと考えていながら、コストがネックで諦めていた方々に向けて強くアピールしていきたい」と白方部長は力を込める。
 
白方憲一 法人営業統括本部 営業1部 部長

より小規模な店舗に向け
新たな市場を掘り起こす

 サードウェーブがビデオウォール製品の販売に乗り出したのは、まず、2年前に高性能のHDMIケーブルなどの映像関連機器を主力販売しているハイパーツールズをグループ化したことに端を発する。そして、昨年には業務向けのAV周辺機器を供給するメーカーである台湾のサイプレステクノロジー(Cypress Technology)と正規代理店契約を結び、同社製品の販売を広く手掛けることとなった。

 サイプレステクノロジーは、モニター変換機や延長器など、幅広いAV周辺機器のラインアップをそろえている。日本で同社の製品を展開していくにあたって、ビジネスの可能性を感じたのが映像IPソリューションだったという。

 「確かに小規模向けの製品も出てきてはいるが、小規模なものでも数百万円単位で、まだまだ一般の店舗が導入するには高価。当社の映像IPソリューションは、プライス(低価格)、レスポンス(迅速な対応)、バラエティ(あらゆる悩みに対応)をコンセプトに掲げている。インパクトのある価格設定とし、簡単に設置できて導入後の運用も容易にできるシステムをニーズに柔軟に対応し提供することで、新たな市場を掘り起こせる可能性は大きいと考えた」と白方部長は説明する。

AV over IPが可能にする
柔軟性と機能性

 本格販売に先立ち、昨年11月には幕張メッセで開催された音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2019」に出展。サイプレステクノロジーと共同で、「マルチスクリーン」をテーマに「AV over IP」「eスポーツ」コンテンツ、ライブ配信用機材としてのサードウェーブ製PCをデモ展示し、来場者からの高い注目を集めたという。

 「それまで映像配信向けの製品をサードウェーブが扱っているということを知らない方が多かったため、かなり興味をもっていただいたようだ。また、AV over IPという仕組みに対する関心も高かった」と白方部長は振り返る。

 AV over IPとは、映像などのコンテンツ(HDMI信号)をプロジェクターやモニターなどの表示機器にネットワーク経由で伝送するシステム。表示機器側の受信機にIPアドレスを設定することによって、ネットワーク上で映像や音声を送信することが可能になるため、スイッチャーを使用しなくても自由に入力ソースを切り替えることができる。

 「これによってシステムの構成次第で、分配器にもスイッチャーにもビデオウォールにもなる便利で柔軟なシステムとなっている。しかも、必要に応じて接続する機器の数を追加し、減らすことも柔軟に対応できるというメリットがある」という。

ユーザー自身で運用が可能
PC不要の容易な操作性

 製品ラインアップは、AV over IP送信機「CH-U331TX」、AV over IP受信機「CH-U331RX」、コントロールユニット「CDPS-CS7」で構成する。送信機と受信機間は1本のCAT5e/6ケーブルで最大100メートルまで延長でき、入出力信号については、HDMIを使用すれば4Kの解像度まで対応する。
 

 サードウェーブのAV over IPを使用することで、特別な知識がなくても、コントローラとタッチパネルをつないで視覚的に機器を制御し、表示するコンテンツを切り替えることができる。各面に異なるコンテンツを自由に配置して表示することができるほか、1コンテンツを複数画面で表示もできる。各映像はサイズやメーカーの違うモニターに投影することができ、コントロールユニットでグルーピングすることでビデオウォールなどを簡単に構成できる。

 画面の切り替え自体は、送信機の一覧に表示されている映像ソースのサムネイルからドラッグ&ドロップするだけの直感的な操作だけで済む。また、映像の差し替えもサムネイルのドラッグ&ドロップで即座に切り替えることができる。

 コントロールユニットを使うことで、複数の送信機と受信機を一元管理することができるため、複雑な画面構成でも管理は容易だ。接続されている送信機と受信機が一覧表示されるため、どの送信機の映像を出力しているかが視覚的に把握できる。従来であれば、PCから個体別のWeb GUIにアクセスして行うIPアドレスやチャンネル設定なども、コントロールユニットの画面上から設定変更が可能だ。また、コントロールユニットはPoE対応のため、設備によってはアダプター電源が不要になる。

 白方部長は、「PCをまったく使用しなくても、視覚的に設定することができる。コンテンツの表示や切り替えなど、導入後の運用でもベンダーに依頼しなければならないケースが多かったが、当社製品では店舗のオーナー自ら操作してコンテンツや表示パターンを自由に切り替えできるため、余計な運用コストも必要ない」としている。

スポーツバー、サイネージ
eスポーツカフェに向けて拡販

 「小規模な店舗でも、お客様の目を引きつけるもっと凝った映像設備を導入したいというニーズは多い。まずは、スポーツバーなどは大きなターゲットになると考えているが、一般の小規模店舗におけるデジタルサイネージ用途も狙っていきたい。その点、PCレスでの運用やPoE対応は大きな強みになる」と白方部長は話す。

 「対戦を盛り上げるためにも、視覚的に強く訴えるビデオウォールの効果は大きい。潜在的な市場としての可能性はかなりあると考えている」。また、さまざまな利用ケースに柔軟に対応できるように、レンタルでも提供する計画だ。

 「こうした映像系のニーズだけでなく、すでに工場の生産ラインのデータチェックといった新たな用途にもテスト導入されている。映像系も産業系も販売にはそれぞれの業界に強いパートナーの方々の力が欠かせないので、しっかり連携していきたい。また、より複雑な要望にも対応するためのオプションも提供していく予定だ」と白方部長は抱負を語る。