デジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマとした初日の基調講演では、企業のDXを支援するサービスを提供するデジタルトランスフォーメーション研究所代表取締役の荒瀬光宏氏が登場。「コロナショックで加速するデジタル変革」と題し、現在世の中がどのように変わり、企業はどう対応していくべきか語った。

代表取締役 荒瀬光宏氏

 荒瀬氏は、「21世紀はウイルスとの戦いが続く。それを、新しい日常を作り上げるチャンスと捉えられるかが重要になる」と説く。そして、新しい日常を作り上げていく上でカギになるのが「オンライン文化の定着」と指摘。オンライン化で今まで取れなかったデータが取れるようになり、「データの活用・分析といった“データドリブン”という新しい価値へとつながっていく」という。

 オンライン化は、デジタルテクノロジーを活用した第四次産業革命を加速させる。現在、約5億4000万年前のカンブリア爆発と同様の状況が起きていて、「当時は眼を持った生物が誕生して他の生物も追随していったが、第四次産業革命では機械が眼を持ってPDCAを回す、つまり自律化するようになる。すると、データを活用し変化に対応できる企業とそうでない企業の選別が始まる」と語る。

 デジタル前提のデジタルシフト時代に企業が取るべき戦略として荒瀬氏は、オンラインがオフラインを包含する「OMO(Online Merges with Office)」戦略を紹介。OMOを実現した国が中国であり、成功事例として行動データとカスタマーエクスペリエンスを重視した戦略で急成長した同国の平安保険の例を挙げた。

 同社は独自のアプリを開発し、無料診断からトリアージ、口コミ付きで病院と医師の紹介までを行うという患者と医者向けに便利な仕組み(プラットフォーム)を作った。結果、行動データが自動的に蓄積され、使うほどにサービス価値が向上し保険会社の支払いも減った。ほかにもアリババや米国のAmazon.comも無人小売店舗を開発し、オフラインの行動データをオンラインに取り込むOMOに注力しているとする。

 勝者となる条件は、プラットフォーム化した上で顧客の信頼を勝ち得ること。カスタマーエクスペリエンスを重視し、顧客の行動データを取得する仕組みを作り絶えず改善していく仕組みと戦略を構築することが、第四次産業革命で勝ち残るために不可欠な要素だと荒瀬氏はいう。

 「かつて変化に対応できなかった生き物はまだ深海にいる。そこに居続けるか、新しいテリトリーを開拓するのか、判断が求められている」と、経営者にも“目覚め”を促す。