初日のDXセッションの最後には、主催者講演として週刊BCN編集長の本多和幸が登壇し、「コロナ・ショックで加速するDX~ITベンダーよ、今こそ覚醒せよ~」をテーマにプレゼンした。

 週刊BCNでも、新型コロナウイルス感染症のITビジネスへの影響については今年2月から継続的に報じてきた。まずは週刊BCNの関連記事を紹介しながら、この半年の推移を振り返った。

 2月には中国で事業を展開している日系大手SIerが、現地での事業継続にいかに取り組んだかを取材。リモートワークやクラウド環境を利用したシステム開発に取り組む様子を記事中で紹介した。3月には国内でも感染が拡大し、在宅勤務に移行する企業も増加。これに伴いウェブ会議ツールをはじめとするコミュニケーション/コラボレーションツールの需要が急拡大したことや、ノートPC需要が高まったことを週刊BCNの記事を基に解説。さらに5月には、多くのITベンダーが2020年3月期の業績を発表するとともに、21年3月期への新型コロナの影響について見通しを明らかにするベンダーも出てきた。

 本多編集長はNECを例に挙げ、「彼らは製造業や一部のサービス業での一時的なIT投資の冷え込みは覚悟しつつも、長い目でみれば新型コロナにより社会の在り方が変化することでデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが加速し、IT投資も増えていくとの考えを示しており、DX需要をしっかり捉えれば成長は十分に可能だと考えている」と説明。大手SIerなどもDX関連案件の引き合いは減っておらず、「DXがIT市場の成長を支える構図は、コロナにより従来以上に鮮明になった感があり、ITベンダー側にもDXに資する本質的な提案が求められるようになる」と強調した。

 DXに取り組む重要性が広く認知されてきている中で、事業環境の変化に柔軟・迅速・継続的に対応できるシステムを手軽に実現したいというニーズが高まっており、ローコード開発のトレンドが目立ってきていることも指摘した。ユーザー企業の内製化や、ユーザーとSIerによる共創型アジャイル開発などで採用され成果を上げている事例が増えていることを、週刊BCNの関連記事を示しながら説明。自治体の新型コロナ対応での活用事例なども紹介した。

 また、新型コロナによってDXが加速している例としてリテール分野における取り組みを取材した特集記事についても解説。オンライン化、オムニチャネル化やIoT、AIなどによるリアルタイムなデータ活用施策が進んでいると説明し、「ITベンダーにとっては顧客に対する価値をどうつくるか、どう提案するかが従来以上にシビアに問われるようになる。大きな商機があるとともに、ウィズコロナ、アフターコロナの世界をよりよくしていくために果たすべき責任は非常に重いということも意識すべきだ」と結んだ。