新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに企業のテレワーク導入が拡大する中、リモートで端末のセキュリティを管理したいという需要が増えている。そうした背景からカスペルスキーは、法人向けエンドポイント保護製品「Kaspersky Endpoint Security for Business Select(KESB Select)」のクラウド型管理コンソール「Kaspersky Japan Free Cloud KSC(通称:タダクラ)」の無償提供を開始した。サーバー機器が不要で簡単に導入でき、運用負荷もかからないツールとして、KESB Selectとともに中小規模の企業を対象として利用拡大を図る考えで、販売パートナーを支援する取り組みも強化している。

カスペルスキーの藤岡健社長(左)と佐藤輝幸・パートナー営業本部長

リモート管理の需要増に応え、管理コンソールのクラウド利用が可能に

 2020年10月に提供を開始したタダクラは、カスペルスキーが従来提供してきたオンプレミス型の統合管理コンソール「Kaspersky Security Center(KSC)」をクラウド上で利用できるようにしたものだ。アンチウイルス、IT資産管理、デバイス/アプリケーション制御、ウェブフィルタリングといった機能を備える法人向けエンドポイント保護製品のKESB Selectを導入する企業が無料で利用できる。

 最大の特徴は、長年にわたり実績のあるKESB Selectはそのままに、管理方法の選択肢が増えたことだ。カスペルスキーの藤岡健社長は、「コロナの影響でなかなか出社できないという状況の中で、社内に管理サーバーを置いてセキュリティソフトを運用することが難しい企業はたくさんある。リモートでも対応できるクラウドベースのものが求められていた」と話す。
 
藤岡健社長

 また、コロナ禍以前からサーバーを設置・運用するコストを課題とする企業からの要望も届いていたこともあり、同社ではクラウド版の準備を進め、「日本独自」のソリューションとしてタダクラをリリース。「KESB Selectというなじみの深い製品は変わらず、管理コンソールをオンプレミスにするかクラウドにするか選択できるようにしたのが大きなポイント。クラウドベースのセキュリティソフトを使うことが主流になりつつある中で、他社からの乗り換えも含めて楽に導入できる」と、藤岡社長は説明する。
 
タダクラの利用イメージ

 タダクラ利用による主なメリットは4点ある。まず、顧客側でKSC用の管理サーバーを用意する必要がなく、サーバー構築にかかるコストを抑制できること。インフラの運用管理はカスペルスキー側で行うため、運用の手間がかからないこと。クラウドで提供されるため、IT管理者が場所を問わずブラウザー経由で保護対象端末の状況把握やポリシー変更が行えること。そして、KESB Selectのライセンスを購入するだけで、追加費用なく利用できることだ。
 
タダクラの四つの利点

 タダクラは、KESB Selectのライセンス数10~299までの新規および乗り換え購入が利用対象となる。すでにKESB Selectを利用している企業も更新のタイミングに合わせて、オンプレミス型のKSCからタダクラに移行することが可能だ。300ライセンス以上の場合は、タダクラに代わり英語版のKSC クラウドコンソールを利用できる。このコンソールについては「来年度にローカライズを検討している」(藤岡社長)という。

 なお、タダクラはKESB Selectの上位製品であり、Windows10やサードパーティ製アプリケーションのアップデート管理、脆弱性管理が可能なKESB Advancedでは利用できず、KESB Selectでも一部のOSやアプリおよびKSCの機能が制限される。

顧客・パートナーに分かりやすく情報を届ける「B2Bスペシャルサイト」

 カスペルスキーはタダクラのリリースをきっかけに、KESB Selectの新規/乗り換え導入をより一層推進していく方針。佐藤輝幸・パートナー営業本部長は、「タダクラは待望のクラウド基盤の管理サーバーになる。今まで当社の製品の良さは分かっていたけれども、管理サーバーの調達がネックになっていたというような企業に利用していただきたい」と力を込める。
 
佐藤輝幸・パートナー営業本部長

 KESB Selectおよびその簡単導入につながるタダクラは、ユーザー企業だけでなく販売代理店にとっても魅力的なセールスツールとなり得る。KESB Selectはベーシックなエンドポイントセキュリティであり、そこからさらに強化していく上で、簡易版EDRソリューション「Kaspersky Endpoint Detection and Response Optimum(EDR Optimum)」などさまざまな商材も同社ではそろえている。ユーザーの求めるセキュリティレベル次第でアップセルの提案も期待できるということだ。

 また、販売パートナーの支援に向けて、同社では「B2Bスペシャルサイト」を今年6月にオープンした。販売代理店や顧客企業に対し、製品情報やセールスツールにアクセスできるポータルサイトとして情報発信を行っている。

 このB2Bスペシャルサイトもタダクラ同様、日本独自の取り組みだ。あえて“外資系らしくない”デザインにして、誰にでも分かりやすく情報を伝えられるように意識しており、「日本のパートナーや企業の皆様にも親しみをもってアクセスしていただける」と佐藤本部長。製品紹介動画を見てもらいながら顧客に提案したり、提案動画を販売チームのロープレなどに使ったりして、販売力を高めるために活用することが可能だ。

 サイトではキャンペーン情報も掲載されている。現在、多く寄せられているという乗り換え需要に応え、KESB Selectなどのセキュリティ製品に割引価格が適用されるキャンペーンも実施中で、今後も随時実施を予定している。

 藤岡社長は、「KESB Selectはセキュリティのベースとなるエンドポイントセキュリティの製品であり、すでに数多くの企業にご利用いただいている。ほかにも当社は、EDRやサンドボックスなど、お客様のセキュリティレベルを高めていく製品を提供しながら、パートナープログラムやウェブサイト、さまざまなキャンペーンを含めて、パートナーの皆様がしっかりとビジネスを展開できる体制づくりに取り組んでいきたい」と意気込みを語る。