Genetecの監視カメラ統合管理ソフトウェア「Security Center」を核とする昭電のセキュリティソリューション。前編(「週刊BCN+」2021年8月2日掲載)では、映像や環境音による状況検知、生体認証による入退室管理、クラウド型統合監視プラットフォームといった機能拡張・強化について概要を紹介した。今回は、昭電とGenetecに機能拡張・強化の詳細ポイントとSecurity Center活用事例の最新状況について話を聞いた。

Security Centerを核に拡張が続く、昭電のセキュリティソリューション

統合型・複合型に注目が集まる

 「すでに、マスク検知や発熱監視などのコロナ対策需要は一巡した印象。企業のニーズは統合型・複合型セキュリティや、リスク制御インフラを活用した運用支援へと移っている」。昭電の加藤拓也・情報機器システム部次長は、セキュリティソリューション市場の動向をこう説明する。監視カメラ統合管理ソフトウェア「Security Center」はそのためのプラットフォームとしても最適、というのが同社の考えだ。
 
加藤拓也
情報機器システム部
次長

 開発・販売元であるGenetecの日本法人、Genetec Japanの室川豪・カントリーマネージャーは、Security Centerのユニークな強みを次のようにアピールする。「当社のSecurity Centerは、セキュリティのためのオープンな基盤という位置付け。さまざまなメーカーの監視カメラ、入退室管理機器、生体認証装置、映像解析システム、センサー類と連携できるので、ユーザー企業は自社のニーズに合った機能や装置を組み合わせたソリューションを手にできる」という。
 
Genetec Japan
室川豪
カントリーマネージャー

LiDARや顔認証との連携も実現、モバイル型も短期に構築

 では、実際に、Security Centerを核としたセキュリティソリューションは、どのようなシーンで活躍しているのか。

 例えば、ある警備会社はLiDAR装置と監視カメラをGenetec Plan Managerと組み合わせたシステムの実証実験を始めている。LiDARとは、レーザー光を使って空間を3次元で認識するセンシングの技術。「2次元でしか検知できない既存の機械警備センサーと違って、物体の位置や動きを正確に把握できる」(加藤次長)のが特徴だ。

 このLiDAR装置と複数の監視カメラを組み合わせると、“怪しい人”の動きに合わせて監視カメラを自動的にバトンタッチさせるハンドオーバーが可能になる。警備業では、誤検知を減らしたり出動回数を減らしたりする効果が期待できるという。

 また、ICカードではなく、顔認証デバイスや指紋認証デバイスを使った入退室管理システムを採用する企業も増えている。前編でも紹介したIDEMIA製の「VisionPass」は内蔵ストレージに2万人までのデータを入れておけるので、バックヤードにサーバーを用意しなくてもOK。Security Centerを通じて従業員データベースと連携させることで、その人の属性に応じてゲート開扉を柔軟に制御できる。監視カメラと組み合わせれば、顔認証をすり抜けようとする“共連れ”の検出も可能だ。

 この他、固定カメラや固定回線が使えないシーンのためのシステム開発にもSecurity Centerは活用されている。

 例えば、大型イベントを運営する企業の場合。会場の監視カメラを自社目的で勝手に使うことはできないし、野外のようにそもそも監視カメラが設置されていないこともある。そこで活躍するのが、スマートフォンとSecurity Centerの組み合わせ。現場スタッフに持たせたスマートフォンから動画とGPS情報を5G/LTE回線経由で本部に集めてSecurity Centerで統合監視すれば、混雑状況や事故の有無を確実に把握できるわけだ。

 しかも、Security CenterにはさまざまなAPIが用意されているので、イベントの詳細が決まってからデバイスを選ぶような流動的な状況でも、システム開発はごく短期間で可能だ。加藤次長は「ある国際イベント用のシステムは、受注から3週間ほどで開発できた」と振り返る。

独立系とオープン系が手を携えて日本のセキュリティを変えていく

 このように多様なセキュリティソリューションを昭電が生み出せている背景には、同社が独立系のメーカー/ディストリビューターとして活動していることがある。「当社は、特定のメーカー色に染まることなく、顧客が求める機能を満たすためのベストな製品・サービスを組み合わせたソリューションを提供している」と加藤次長。

 八木祥人・執行役員情報機器システム部長は「制御盤や配線箱などのモノ作り部門も社内にあり、商社としての調達機能や工事などのエンジニアリングサービスも含め、システム構築に必要な全ての要素をワンストップで提供できるのが当社の強み」と胸を張る。
 
八木祥人
執行役員
情報機器システム部長

 また、その協業パートナーであるGenetecも設立当初からオープン系プラットフォームに注力しているITベンダー。「垂直統合型の製品・サービスでロックインを強いるのではなく、ニーズに合ったコンポーネントをユーザーが自由に選べるようにすることが当社の基本的な考えだ」と室川カントリーマネージャーは強調する。

 統合化・複合化・AI化に向かうセキュリティソリューション市場での存在感を高めるべく、両社は引き続き積極的な事業拡大を続けていく。

 当面の目標として昭電が掲げるのは、「エネルギーなどの社会インフラ系の企業や事業者はグリーンエネルギーやカーボンニュートラルなどの地球規模での取り組みが求められている中、それらをBCP、レジリエンス強化という観点で支えるソリューションを整備・提供していくこと。」(八木執行役員)と「それらを持続的に提供していく体制を強化するための要員確保と技術教育」(加藤次長)。

 また、Genetec Japanの室川カントリーマネージャーが明かすのは「海外ではすでに提供しているタスクマネージメントシステム(TMS)を国内に持ち込む」という構想。TMSを導入するとインシデント発生時のオペレーターのアクションを標準化・均質化できるので、企業・団体のセキュリティ強度がさらに高まる、と室川カントリーマネージャーはいう。

 コロナ禍によってあらためて重要性が認識されたセキュリティ。ポストコロナの社会を安全・安心に守るために、Security Centerを核とする昭電のセキュリティソリューションは欠かせない基盤となるに違いない。