Microsoft 365を使っていても、その価値を引き出せている利用者は多くない――。このような現状認識からスタートしたのが、「Elements」の開発・販売元であるAvePoint Japanとクラウドディストリビューターであるrhipe Japanの協業だ。両社が目指すものは何か。AvePoint Japanの岡本健パートナーアライアンス・ディレクターとrhipe Japanの後藤徳弘カントリーマネージャーが語り合った。

Microsoft 365を活用するための ソリューションでMSPを強化する

――まずは、両社の自己アピールをお願いします。

岡本 AvePointは、Microsoft 365にかかわるデータ管理ソリューションをSaaSで提供している会社です。企業がMicrosoft 365上でのコラボレーションをより安心して行えるよう、移行・バックアップ・運用管理の支援をしています。当社のソリューションをお使いのお客様は、世界14カ国に約800万人。本社は米国ニュージャージー州にあり、2021 年7月にNASDAQに上場しました。日本法人のAvePoint Japanは2008年の設立で、国内でも多くのお客様にサービスをご利用いただいています。
 
岡本 健
AvePoint  Japan
パートナーアライアンス・ディレクター

後藤 rhipeは、オーストラリアに本社を置き、ニュージーランドやアジアにビジネス展開している、クラウド製品のリーディングディストリビューターです。2019年に日本にrhipe Japanを設立。21年7 月から国内で本格的な活動を始めました。クラウドライセンスに自らの付加価値を付けて利用者に提供するマネージドサービスプロバイダーを国内に増やしていくことが、日本の他のディストリビューターとは異なる、自らの存在意義だと考えています。
 
後藤徳弘
rhipe Japan
カントリーマネージャー


――両社はどのような経緯から協業に踏み切ったのですか。

岡本 現在、AvePointはグローバルでチャネルビジネスに力を入れています。rhipeさんはMicrosoft 365ディストリビューターのリーダー的存在ですから、そこに当社のソリューションを取り扱っていただくことによって、ビジネスを強化できると考えました。また、当社はrhipeさんがクラウドリセラー向けに提供されているPRISMというマーケットプレースのポータルも高く評価しています。マネージドサービスプロバイダー(MSP)がPRISMでオーダー処理をすると、AvePointのElementsとシステム連携し自動プロビジョニングされますので、このポータルがあれば作業の能率を高められるに違いありません。
 

後藤 当社がAvePointさんと協業したいと考えた背景には、三つの理由がありました。まず、これからMSPへと踏み出そうとしている企業にとってAvePointさんのElementsがぴったりの仕組みだということがあります。また、現状では、Microsoft 365から価値を引き出せていない利用者がほとんどです。そこで、Microsoft 365を取り扱っているリセラーがElementsを商材に加えれば、利用者のMicrosoft 365価値実現を強力にサポートできるようになると考えました。さらに、AvePointさんはMicrosoftと密接なつながりを持つ企業ですから、そのソリューションにはとても信頼感がありました。

Microsoft 365を導入するも 活用できていない日本企業は多い

――Microsoft 365から価値を引き出せていない利用者が多いとのことですが、具体的に、どのような問題があるのですか。

岡本 そもそも、利用者がMicrosoft 365をうまく使いこなせていないという問題があります。例えば、Microsoft 365を新規に導入して使い始めるときには、それまで使っていたメールボックスやファイルサーバーのデータを移行しなければなりません。また、Microsoft 365には多くの機能が用意されているため、それぞれの特徴を理解して自社業務の生産性向上に生かすにはMicrosoft 365についての十分な知識と経験が必要です。さらに、システムの運用ルールやセキュリティポリシーは企業ごとに違っていて当たり前ですが、それをMicrosoft 365に正しく反映させることは、決して簡単ではありません。

後藤 そうした現状をMSPの側から見ると、“使いこなせていない利用者”をきちんとフォローしてMicrosoft 365の価値を引き出せるようにすることがビジネスチャンスになるわけです。

――Microsoft 365の使い方については、日本ならではの課題もあると思われますが。

岡本 元々、欧米ではコロナ禍の前からテレワークや在宅勤務が当たり前のように行われてきました。SaaS ビジネスはそれによって大きくなってきましたし、企業側でもMicrosoft 365を活用したビジネスモデルが確立しています。それに比べると、急きょコロナ禍でテレワークを始めた日本の企業が遅れているのは致し方ないところがあります。

後藤 その他にも、日本ならではの特殊性が二つあると思います。第一に、これは悔しいことですが、欧米の企業と比べて、ITリテラシーやITスキルの差は現実のものとしてあります。Microsoft 365にはたくさんの設定項目があるのですが、こわくて手を出せないという理由でデフォルトのままで利用している企業も多いはずです。間違った設定をすると、予想外の場所に影響が出ることがあるからです。第二に、日本の企業はゼロリスクを求める意識が強いため、外部との情報共有などの便利な機能について「全部オフ」か「全部オン」の両極端に走りがちです。自社の使い方に合った適切な設定ができないために、生産性を向上させることができなかったり、セキュリティレベルが低下してしまったりすることがあります。

データ移行やバックアップなど 選んだ4機能を月額課金で使える

――そのような事情をかかえる日本の企業でも、Elementsを使えばMicrosoft 365をフル活用して価値を引き出せる、というわけですね。

岡本 ElementsはMicrosoft 365のデータ管理をするソリューションの総称で、当社はMSPがお客様の環境を集中管理するためのポータルとしてElements Portalを提供しています。このElementsを構成しているのが、FLY、Cloud Backup、Cloud Management、Policies & Insightsという 四つのソリューションです。

――FLYというのはどのようなソリューションですか。

岡本 FLYは利用者側のデータをMicrosoft 365に移行するためのツールです。移行前の状態をアセスメントし移行計画を立て、実際にデータを移行し、その結果をチェックするところまでやってくれますから、クラウド運用の経験が少ない人でも簡単にデータの移行ができます。転送元としては、オンプレミスのサーバーだけでなく、Microsoft 365テナント間、Google Workspace、Slack、Box、Dropboxといったクラウドサービスも対象です。

――Cloud Backupは、Microsoft 365内のデータを保護するツールでしょうか。

岡本 Cloud Backupを使うと、Exchange Online、SharePoint Online、Teams、OneDriveなどの中にあるユーザーデータをバックアップできます。Microsoft 365の場合もクラウド内のデータを保護する責任は利用者側にありますので、このツールを使ってバックアップしておくことで、より安心して活用を進められるでしょう。

後藤 AvePointさんのCloud Backupは、Microsoft 365に最適化されているのが特徴です。Microsoft 365はバックグラウンドのプロセスを制御するスロットリングが発生し、単純にバックアップすると何時間たっても処理が終わらないことがあります。Cloud BackupはMicrosoft 365の構造を理解した上でベストプラクティスに沿った処理を行っているため、問題を最大限回避しスピーディなバックアップを実現しています。

――Cloud ManagementとPolicies & Insightsは運用管理とセキュリティ管理のツールですね。

岡本 Cloud Managementは、毎日の運用を自動化するためのツールです。例えば、異動や組織変更があったときも、このツールがあれば属性が変わった利用者へのアクセス権限を自動的に変更することができます。また、Policies & Insightはセキュリティ保護のツールで、その会社のセキュリティポリシーに合わせてMicrosoft 365のセキュリティ設定を変更したり、Teamsでのゲストアクセスやファイルの共有の状態を監視したりするのに使えます。

――Elements Portalは利用者とMSPのどちらが使うポータルなのですか。

岡本 これは、MSPが4種類のソリューションを顧客に提供する際に使っていただくためのポータルとして作りました。集中管理のしやすさを第一に考えたマルチテナント設計・実装になっていますので、顧客が多くても、契約管理、設定管理、セキュリティ管理などの作業をポータルだけで効率的にできるのがポイントです。また、顧客にElements Portalへのアクセスを許可するかもMSPでコントロールすることが可能です。

――利用者は、4種類のソリューションを個別に選んで利用できるのですか。

岡本 もちろんです。必要なツールをアラカルト式に選んでいただき、1カ月単位のサブスクリプション型でご利用いただけます。

両社が密接に協力して活動を続け MSPに転換するリセラーを増やす

――Elementsを導入することによって、MSPと利用者にはどのようなメリットがありますか。

後藤 今までリセラーだった企業にとっては、MSPのビジネスを早期に立ち上げられることが最大のメリットになります。それによって、収益力も高まるでしょう。利用者にとっては、Microsoft 365から最大限の価値を引き出せるようになることが大きなメリットです。

岡本 Elementsを導入すると、それまでMSPが人手で行っていた運用管理作業を自動化することができます。利用者にとってのメリットは、後藤さんが言われたように、Microsoft 365の利活用の幅が広がることでしょう。

――マーケティングや販売について、両社はこれからどのように協力していきますか。

後藤 ソフトウェアベンダーとディストリビューターという立場の違いはありますが、基本的には一緒にやらせていただくことが多くなると思います。例えば、AvePointさんのトレーニングコースを当社のリセラーやMSPに紹介していますし、rhipeのSEもAvePoint製品の技術支援を行います。また、マーケティング活動の一環として、さまざまなセミナーでAvePointソリューションを活用したマネージドサービスについて講演することも増えてきました。その他、2022年6月までの当社独自キャンペーンとして、rhipe JapanからAvePoint製品を購入したリセラーやMSPに対して、チャージ額の10%をキャッシュバックするつもりです。

岡本 MSPの方々のビジネス展開をお手伝いするためのマーケティング活動、技術支援、販売支援などを両社が共同で推進していく、というのが今後の協業のイメージです。

――国内でMSPを増やすために、両社は今後どのような活動をしていきますか。

岡本 国内でMSPビジネス拡大の余地はたくさんありますので、rhipeさんと一緒に貢献していきたいと思います。リセラーからMSPに転換するに際して、「MSPになると売り上げがどれだけ増えるのか」が気になるはず。新規顧客獲得のための施策や、サービスの立ち上げをお手伝いしたりすることで、そうした懸念を払拭していこうと考えています。あわせてElements以外の当社ソリューションもMSPの方々にご紹介していくつもりです。

後藤 AvePointさんが国内に投入されるソリューションと、当社が国内で進めているMSP拡大戦略は密接に結び付いています。ですから、AvePointさんと当社が一緒になってMSPを日本で増やすための活動を継続してやっていく、それに尽きます。

――ありがとうございました。
 
マネージドサービス提供に関するアンケート
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_rhipeave