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HRファーブラ 真のビジネスパートナーと歩むビジネス変革 感情労働時代にはAIが重要パートナーに

2024/02/15 09:00

週刊BCN 2024年02月12日vol.2002掲載


 基調講演「真のビジネスパートナーが成し遂げるビジネストランスフォーメーション」のスピーカーを務めたのは、HRファーブラ代表取締役(元PwCパートナー)の山本紳也氏である。

HRファーブラ
代表取締役(元PwCパートナー)
山本紳也氏

 組織人事を専門とするコンサルタントの山本氏はまず、現在の世界はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の状況下にあると指摘。「正解も常識もなくなり、ノーノーマル(常識のない)時代が到来している」とした上で「VUCA時代はデジタルによってもたらされているが、ノーノーマル時代の働き方や生き方をつくっていくのもデジタルだ」と述べた。

 このノーノーマル時代には、ビジネス戦略のあり方も必然的に変わってくる。かつてはto-be(目標)を明確にしてas-is(現状)との差異を縮めていくことがビジネス戦略の王道だったが、ノーノーマル時代には目標を明確にすることが困難または不可能になるからだ。

 その結果、ソリューション(解決策)の創出の仕方も様変わりする。従来は“正解”があったので、情報システム部門や本社企画部門の担当スタッフは、関係部署やコンサルタントなどと相談してソリューションをつくり上げれば良かった。ノーノーマルの時代には、各分野の専門家と1対1で対峙するのではなく、関係者全員が集まって多様な意見を出し合う中からソリューションを創出することが求められる。

 また、このように多数のステークホルダーが参加する“場”を円滑に機能させるには、オーケストラの指揮者のような存在が必要だ。この“指揮者”に求められるのは、さまざまな立場のニーズと課題を理解した上で、将来のビジネスを創出していくこと。「1人の担当者ではとても無理なので、複数の人が務めたり、外部コンサルタントなどに依頼したりするのが普通。システムそのものがオーケストレーションするかたちも考えられる」と山本氏はいう。

 ノーノーマルの時代には、人々の働き方も変わってくる。ものづくりの時代(昭和)や情報の時代(平成)と違って、価値創造時代の今は、事業の寿命(約10年)が人の寿命(約90年)よりも短くなっている。終身雇用はとうてい望めず多くの人が数回の転職をすることになるので、リスキリング(学び直し)も欠かせない。

 働く人々に期待される役割も変化する。ものづくりの時代に求められたのは肉体労働であり、情報の時代にはそれが頭脳労働へと変わった。しかし、AIとの共存共働によって価値を創造する時代になると、判断の多くの部分はAIが担当。人々は感情労働の領域を担うようになる。

 「感情労働では、ICTやAIはツールではなく人々のパートナーになる」と山本氏。AIとのパートナリングが価値創造のかぎとのことだ。
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