米国立標準技術研究所(NIST)がゼロトラストアーキテクチャーをSP 800-207として定義したのは、2020年。12月13日のセッション3「Beyond Zero Trust~最新のセキュリティ市場動向~」では、定義が定まった後のゼロトラストセキュリティー市場の動向について、SB C&S 技術企画室セキュリティビジネスデベロッパーの遠藤宗正氏が概括的にレクチャーした。
SB C&S
技術企画室 セキュリティビジネス デベロッパー
遠藤宗正氏
日進月歩のITの世界の中でも、セキュリティーは特に変化が激しい分野として知られる。遠藤氏は「特に、ゼロトラストの領域はカオスな状態になっている」と指摘。同社では遠藤氏などの5人の“セキュリティソムリエ”が顧客に市場の最新情報を提供していることを明らかにした。このソムリエの役目は、自分たちが目利きした商材を豊富に品揃えし、ソリューションとして顧客に提案すること。遠藤氏が今注目しているのは、「拡張脅威検知・対処(XDR)」「継続的脅威露出管理(CTEM)」「Security for AI」の3種類の商材だという。
そのような立場にある遠藤氏は、セキュリティー対策のポイントとなる分野について、「現在は端末、サーバー、ネットワークが中心だが、今後はログ、公開資産、AIがメインになる」と見ている。現在の主な商材といえば、資産管理、統合エンドポイント管理(UEM)、アンチウイルス(AV)、エンドポイント保護(EPP)、エンドポイント検知・対処(EDR)、統合脅威管理(UTM)、次世代ファイアウォール(NGAV)、Secure Access Service Edge(SASE)、Security Service Edge(SSE)など。それが、CTEM、XDR、セキュリティー情報イベント管理(SIEM)、Security for AIなどへと移っていくというのである。
例えば、Security for AIは「学習データの匿名性の確保」「AIモデルとアルゴリズムの保護」「入出力での機密情報の保護」の各機能でAIをサイバー攻撃から保護する。「似たような言葉にAI for Securityがあるが、こちらはAIを攻撃や防御に利用することだ」と遠藤氏は説明する。このほか、大規模言語モデル(LLM)を守るLLMファイアウォール(LLM FW)もAI保護を目的とする商材だ。