オンライン会議が増える中、「音質」により悪影響を受けた経験を持つ人は多いはずだ。音声が途切れたり、雑音が混じったりするような音質では、相手との円滑なコミュニケーションを妨げるだけではなく、文字起こしの精度にも悪影響を及ぼす。いまやオンライン会議の音質はマナーを越え、業務生産性をも左右する。企業のIT部門にとっても、どのようなデバイスを標準配備するかは、ユーザー体験だけでなくTCO(総保有コスト)やセキュリティ、サポート工数にも直結する。ビジネス利用に最適なデバイスとは何か。
オンライン会議の音声品質は業務効率に直結する
「Jabra」ブランドで知られるGNオーディオは、デンマーク発の音響・映像機器のリーディングカンパニーで世界100カ国以上に製品を展開する。同社のJabraブランドのデバイスには、150年以上の歴史を持つGNグループで培われた高精細な音響処理技術が生かされている。Jabraのオンライン会議向けの製品カテゴリーには、ヘッドセットやスピーカーフォン、ビデオ会議ソリューション(カメラ・マイク・スピーカーの一体型/管理端末)などがある。認証やサポート体制も整備されており、ビジネス用途に適したラインアップとなっている。
ヘッドセットやスピーカーフォン、会議室用ソリューションなどを広範にラインナップ
コロナ禍以降、オンライン会議が増えている。GNオーディオのグローバル調査によると、回答者の99%が「オンライン会議の音質に悪影響を受けたことがある」としており、「相手が使うノートPCの内蔵マイク、スピーカーに不満がある」との回答は65%に上った。誰しも、相手の声が聞こえづらいとか、環境音が混じり気まずい思いをしたなどの経験があるはずだ。こうした「聞き返し」や「聞き逃し」は、参加者個人のストレスだけでなく、会議時間の延長や意思決定の遅延など、組織全体の生産性低下にもつながる。
オンライン会議の「音質」に関する不満を感じた経験のある人は多いはずだ
GNオーディオは「オンライン会議に悪影響を与えているのはユーザーの行動ではなく、使用しているテクノロジーにある」とする。たとえ雑音がある環境であっても、適切なデバイスを使えば音声の課題を回避できるためだ。確かに通信ネットワークの品質は制御しにくい問題だが、音声品質はデバイス側で解決できる。安価なイヤホンだとマイク性能が不十分で、特にケーブルタイプだと衣服との摩擦でノイズが発生することがある。また形状や重量により、耳の痛みや肩の凝りなど健康に悪影響を及ぼすこともある。会議の質と社員の健康のためには、参加者全員が適切なデバイスを使用することが重要だ。IT部門の立場から見れば、「各自バラバラのコンシューマー機」を使う環境は、品質もサポートもばらつきが大きく、トラブル時の切り分けや問い合わせ対応にも負荷がかかる。会議の質と社員の健康、そしてIT部門の運用負荷の観点からも、参加者全員が適切なビジネス向けデバイスを使用することが重要だ。
話者の音声を明確に伝えるための独自技術「ClearVoice」
オンライン会議のデバイスに求められる機能では、ノイズキャンセル機能が浮かぶ。一般的には聞く側(スピーカー)の快適さを支えるものだが、会議であればマイクのノイズキャンセル機能がより重要になる。先述したようなオンライン会議における音声の課題は「話者の声がクリアに伝わらない」ことに起因するためだ。Jabraブランドのヘッドセットには独自技術となる「ClearVoice」が実装されている。声の明瞭さに特化した音声処理技術として開発されたもので、複数のマイクとAIベースの音声処理により、周囲の雑音を除去して話者の声だけを明瞭に伝える。これにより、オープンオフィスや在宅など多様なワークプレイスにおいても、一定以上の音声品質を標準化できる。
周囲の雑音を除去して話者の声だけを明瞭に伝える「ClearVoice」を実装
また、Jabraのヘッドセットは耳への圧迫を軽減するための素材やデザインにこだわっており、長時間使用していても身体への負担を軽減する設計になっている。瞬時にミュートできるブームアーム(マイクを口元に近づけるための可動式アーム)が主なビジネス向けモデルに備わっている。
オンライン会議には新たな課題も顕在化している。これまでオンライン会議の音質が多少悪くても、人の聴力でカバーできていたが、近年ではAIによる文字起こしが普及し、マイク性能は文字起こしの精度に影響し、そのまま業務生産性に直結する。先述のGNオーディオのグローバル調査によれば、一般的なコンシューマー向けイヤホンでは文字起こしの精度が64.1%なのに対し、Jabraプロフェッショナルグレードでは96.5%まで向上する。会議数や参加人数を考えれば、この差は議事録作成やナレッジ共有の効率に大きく影響し、IT部門が推進する「情報活用基盤」の実効性を左右する要素になりつつある。
会議室に適したスピーカーフォンとビデオバー
次いで、会議室に何人か集まり、オンライン会議する場面を考えてみよう。参加者それぞれが自分のPCを使うとマイクがハウリングを起こしてしまう。かといって、1台のPCだけでは音を十分に拾えない。一般的なスピーカーフォンは、ヘッドセットに比べてノイズキャンセル性能が限定的で、設置や接続に時間がかかる課題がある。その点、Jabraのマイクスピーカーは高い集音性があり、広範囲から話者の声を拾うことができる。話者ごとに声量にばらつきがあっても、相手に聞こえやすいように自動調整する。また広い会議室向けに2台連結できるモデルもあるため、小会議室から大会議室まで、IT部門が会議室タイプごとに標準構成を定義しやすい。
一方、視覚情報については、1台のノートPCのカメラに参加者が顔を寄せ合ったり、ノートPCの向きを動かしたりするのでは、参加者の識別が難しい。従来、テレビ会議システムの導入は高価なイメージがあったが、近年では導入コストが抑えられて手の届くモデルも登場している。Jabraのビデオ会議ソリューションでは、会議室の広さや専用端末の要・不要に応じてデバイスを選択できる。中でも「Jabra PanaCast 50」シリーズのビデオバー(カメラ・マイク・スピーカーが一体化したデバイス)は3基のカメラ映像を合成することで、180度の視界を歪みなく映し出すことができる。ビデオバーに参加者のPCを接続して使うBYODタイプに加え、ビデオバーと専用端末(タッチコントローラー)を組み合わせたVBSやRSタイプを選択することが可能だ。IT部門は、会議室ごとに決められた構成を導入することで、ユーザーへの案内やトラブルシューティングを共通化しやすくなる。
オンライン会議はなくなることはなく、今後さらに定着していくのは確実だ。業務に不可欠なデバイスとしてJabraのヘッドセットを社員に配布している企業も出てきている。オンライン会議に適切なデバイスを使うことは、使用者本人だけではなく、相手への配慮や業務生産性向上に不可欠になるといえるだろう。ノートPC内蔵マイクやバラバラなコンシューマー機に頼るのではなく、ビジネス品質のデバイスを標準として整備することは、これからのITインフラ設計の重要なテーマである。IT部門が主導してヘッドセットやビデオ会議ソリューションを見直すことが、オンライン会議の“質”と業務生産性を一段引き上げるきっかけとなるだろう。