「今年はなりふり構わず黒字化を目指す。この最初の1年が大切」と、NEC・西垣浩司社長。3月26日に社長に就任、今年、創業100周年を迎える新生NECの舵取り役として、奔走の毎日を送る。「半導体、通信、コンピュータのなかで、最もグローバル化が遅れているのがコンピュータ事業。ここには早く手を打たなくてはならない」と話す一方、「コンピュータ系販社の方々とは新しい時代を見据えた協調関係を構築したい」とも話す。NECはどういう方向に行こうとしているか。コンピュータ事業の話を中心に、西垣社長に今後の方針を聞いた。
コンピュータ事業のグローバル化を急ぐ
──コンピュータ担当専務時代と、社長としてコンピュータ事業を見た場合には、随分、違って見えるのではないですか。
西垣 見えなかったものが見えるようになった、ということはないですね。ただ、通信、半導体事業に比べると、コンピュータ事業が最もグローバル化が遅れていることを実感しています。ここにはいち早く手を打っていかなくてはならない。
──具体的にはどんな手を打ちますか。
西垣 なんといっても、PB-NECの取り組みがカギになります。リストラは計画通りに進んでいますが、当面の目標は黒字化です。今年暮れには黒字転換の予定で、次のステップとして上場を狙う。さらに、上場で得た資金によって積極的なM&Aも推進していく。PB-NECは、パソコンプロダクトの会社という位置づけが強いですが、黒字化してからはミッションクリティカルな分野への進出を視野に入れて、SI事業の拡大を図ろうと考えています。M&Aも、SI事業の推進、サーバー事業の強化を目指した取り組みが中心になります。製造に関しては、ほかの企業と共同開発という形にし、むしろSIの専門会社という位置づけを強めたいと考えています。
──どれくらいの期間でやるのですか。
西垣 2-3年でやらなくてはならないと思っています。
──販社の間からは、西垣社長体制になって、直販指向が強まるのではないかという懸念の声がありますが。
西垣 新しい時代にどうタイアップしていくか、ということを販社の方々と話し合っていかなくてはならない。すでに、トップディーラーの方々とも話し合いを進めていますが、今後、誰がどういう役割を演じるか、という点をお互いに明確にしなくてはなりません。デルコンピュータが力をつけてきたら、NECも、販売店も困るわけです。
それに備えるためにはどうするか。お互いの利益のために、理解を求めています。インターネットを使った流通が大きな潮流になることは否定できません。それなのに、それが「良い」、「悪い」で反発しあっていても仕方がない。新しい時代に、NECは何をするべきか、そして販社は何をするべきかを徹底的に話し合っています。
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