シトリックス日本法人は、2009年度、過去最高の成長率を実現した。グローバルのトレンドに追随するかたちで、日本でも大規模導入が本格化しているという。今年は「デスクトップイノベーション」を打ち出し、「デスクトップの仮想化」「エンタープライズビジネスの拡大」「アライアンスパートナーシップの拡大」をキーワードに市場開拓を加速させる。
市場の注目浴び、業績は絶好調
──日本法人は過去最高の伸びをみせたそうで、非常に順調ということがうかがえます。
キング 私は、前職なども通して、アジア・太平洋と日本を担当しています。日本に来るようになってから13年が経ちました。シトリックスへの入社は、会社にとっても、私にとっても一番エキサイティングな時期と重なりました。今、シトリックスのソリューションへの興味がユーザー企業の間で高まっていますし、日本のIT企業の幹部の方々との戦略的なつながりも増えています。今、私と一緒に取り組んでいる経営陣も、非常にレベルが高いと感じています。
最初に日本法人社長のオファーがあったときに心配したのが、不況の真っ只中の時期にあったことで、投資の抑制が懸念されたことです。でも、いざフタを開けてみると、不況の影響があったからこそ、ユーザー企業がコスト削減を真剣に考え始め、デスクトップ仮想化に対して目を向けるようになってきたのです。セキュリティを高め、コストを削減するのに効果を発揮するからです。従来なら、私どものソリューションに興味はもってもらえたとしても、それを採用しようと決断するのに長い時間がかかっていました。それが、迅速に決断が下されるようになった。需要が非常に旺盛で、こちらの対応が後手に回るほどでした。
1年半前にアジア・太平洋、日本という地域分けから日本を離し、日本法人単独で本社に直接報告するようになったわけですが、これは日本のデスクトップ仮想化の市場の潜在需要が非常に高いと米本社が認めたからできた決断です。09年の日本法人の売上高は3%増。全世界では2%増でしたから、それを上回っています。不況の下で過去最高の業績をあげることができたことに誇りを感じています。
──シトリックスの強みを改めて教えていただけますか。
キング シトリックスは、デスクトップ仮想化に関してマーケットリーダー的な存在になっています。日本では13年間ほど営業していますが、顧客1万8000社、またSIer、そしてシトリックス製品を利用してクラウドサービスを展開するCSP(シトリックスサービスプロバイダ)と称するパートナー基盤をもっています。
ユーザーは1万8000社にのぼるものの、これまではほとんどが部門単位に導入するような使い方だったと思います。
今、日本でデスクトップ仮想化を加速させる二つの動きがあります。それが、仮想デスクトップ環境をクラウドから提供するDaaS(デスクトップ アズ ア サービス)です。富士通や、NTTコムウェアもクラウドソリューション「SmartCloud」のメニューとして提供を開始しました。もう一つは、Windows 7の発売による法人PCの新OSへの移行需要です。デスクトップ仮想化をあわせて導入することで、スムーズな移行が実現できます。
仮想化は、世界的な傾向として、将来を見据えて企業が全社的に導入する動きが顕著です。日本でもデスクトップソリューションを、会社全体で採用していただきたい。拡販を進めていくうえで、他のパートナーとのアライアンスは非常に重要です。デスクトップはマイクロソフトが所有しているものですから、私たちの会社も一緒になってWindows 7を拡大していくことが重要になっています。
デスクトップ仮想化は柔軟性や安全性を提供し、
今後の日本のビジネスを変えていく大きな転機となる。
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