シトリックス・システムズ・ジャパン(マイケル・キング社長)が、ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラ)「Citrix NetScaler」の機能を改善、クラウド時代に対応するための製品強化を図った。ADCで利用分だけ支払う課金制度を採用しているほか、主力の仮想化OSが売りになっていることから、いかにデータセンター(DC)の進化ニーズに対応できるかに注目が集まりそうだ。また、同社は他社の仮想化OSもカバーするフレームワークを打ち出しており、クラウド時代で主導権を握る。
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| 仮想化を武器にクラウド時代での優位性を語る米シトリックス・システムズのスーニル・プティ・バイスプレジデント |
市場投入した「NetScaler MPX」シリーズ「17500」「19500」「21500」の3機種は、CPUとして「インテルXeonプロセッサーX5680」を採用。単位時間あたりの処理能力が特徴で、最上位機種の「21500」は50Gbps(毎秒50ギガビット)と最高レベルの性能をもっている。2Uサイズと小さなきょう体であることも売りだ。また、今年後半には仮想ADC「VPX-3000」を投入。同製品は、最大スループットを既存の機種より3倍に引き上げたことが特徴となる。「MPX」「VPX」ともにOSは最新バージョンの「NetScaler9.2」で、パフォーマンスが前バージョンに比べて最大で7倍に改善されているほか、マルチコアCPUへの対応やIPv6の性能向上、ビデオなど容量が大きいデータ配信の高速化を果たしている。
このような製品群を揃えたのは、DCがインフラの増強で進化しようとしている動きに対応するためだ。的場謙一郎・マーケティング本部シニアプロダクトマネージャーは、「インフラを増強するにあたってDC事業者は、クラウドレベルの性能やスケーラビリティといったクラウドへの即応性と、ウェブ2.0のアプリケーションやビデオ配信への対応、管理の容易性などを求めている」と捉えている。そのうえで、「今回の製品は複雑化するウェブアプリケーションに対応した」としている。
新ADCを市場投入したことに加え、同社が掲げるのはクラウド向けプラットフォームのオープン化だ。「Citrix Open Cloud Framework」というコンセプトを打ち出しており、「VMware」や「Hyper-V」など他社の仮想化OSや製品を含めてクラウドサービスをサポートするものだという。米国本社でプロダクトマネジメントやマーケティングを担当するスーニル・プティ・バイスプレジデントは、「このフレームワークは、クラウド時代において大きなポイントになる」とアピールする。それは、ユーザー企業の多くがクラウド環境の構築に向けて仮想化関連の製品やサービスを導入、製品やサービスがシームレスにつながらなければクラウド時代に対応できない、との考えからきている。
仮想化を武器に、アプリケーション配信の最適化を追求した製品の投入、ADCというアプライアンスで導入の容易性をアピール。加えて、オープン化のコンセプトを打ち出すことで、クラウドサービスを提供するためのインフラ領域で確固たる地位を築く。これが同社の戦略である。とくに、同社のADCが台頭してくれば、これまで国内市場でシェアが低かっただけに競争が激化する可能性も秘めている。(佐相彰彦)