米クエスト・ソフトウェアと米バックボーン・ソフトウエアが統合することに伴って、両日本法人が7月1日付で「日本クエスト・ソフトウェア」として新たなスタートを切る。初代社長には、バックボーンの大越大造社長が着任。国内ではLinux用データ保護・リカバリソフトウェアでシェア1位のバックボーンと対照的に、クエストはグローバルで実績ある商材でも存在感を出し切れていない。新生ベンダーをどう舵取りするのか大越社長に方向性を聞いた。
性格が異なる両社の特性を生かす
──今年3月で2010年度が終了しました。これまで大越社長が率いてこられたバックボーン・ソフトウエアの業績はいかがでしたか。
大越 2010年度は、前年度比で売上高が20%近い伸び率を達成することができました。ディザスタリカバリ(災害対策)などを要素として、バックアップ市場全体としても、非常に成長した年だったと思います。昨年からの傾向としては、大企業、官公庁といった大規模な案件が増えています。地道に小さなところからシェアを積み上げてきたことが認められて、大規模案件につながる成果となりました。当社はパートナー戦略を展開しています。販売パートナーさんもそうですが、日本国内のサーバーベンダーに対するOEM供給が奏功して大規模向け案件が伸びたのだと思います。一方で、売り上げ構成比でもOEM供給が伸びている格好です。
──ディザスタリカバリの需要以外に突出した要因はありましたか。
大越 キーワードとなるような商材があったわけではありませんが、バックアップ手法がいま進化しています。例えば、重複したバックアップデータを排除してストレージ容量を最適化する「ディデュープ」であったり、リアルタイムにバックアップを行うCDP(継続的データ保護)であったり、さまざまな新しい手法が出ているわけですが、最終的には「NetVault Backup」が提供している従来からある信頼、成熟しているバックアップ手法でしっかりデータを保護していくニーズが成長を後押ししたとみています。
──一方、クエスト・ソフトウェアの国内市場における営業活動ぶりはどのようなものでしたか。
大越 クエストはバックボーンと正反対で、パートナー主導のビジネスよりも直販、ハイタッチモデルを主体としています。取り扱っている製品のレンジが両社で異なりますから、クエストの場合はすべてパートナー販売モデルにするのが難しい部分があります。日本で営業活動を進めるにあたってインテグレータの地位はかなりのポジションを占めますので、今後一部のクエスト製品についても、インテグレータや、OEMのサーバーベンダーの皆さんの営業力に助けてもらいながら、伸ばしていきたいですね。
──7月から「日本クエスト・ソフトウェア」として新しいスタートを切ります。現段階で想定できるビジネス上の課題は?
大越 バックボーンのビジネスは国内で確立されています。一方のクエストの方はブランディングが必要です。クエストは年商7億8400万ドル、ワールドワイドの独立系ソフトベンダー(ISV)のなかでは50番目くらいの規模の会社です。大きいベンダーなのですが、日本ではクエスト製品が浸透していません。クエストというブランドを前に出しても、会社名を聞いたことがないというのは一番まずい。何度か弊社のパートナーや顧客に聞いてみても、「聞いたことない」という答えがたくさん返ってきます。まだ、会社名と商品やジャンルが一致していない状態なので、長いスパンで定着させる必要があります。
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