創業210年の歴史を誇る鈴与。そのグループ会社で、物流と情報システムを担うのが鈴与シンワートだ。今年掲げた3か年中期経営計画では、事業の拡大や競争力強化をうたう。同社は、次の成長の柱をつくるために、新しい事業の立ち上げを進めている。その経営戦略を、成岡謹之輔社長にたずねた。
サービス事業で強い会社を目指す
――まず、鈴与シンワートが手がけておられるビジネス領域からうかがいたいのですが。
成岡 「情報」と「物流」の両方を手がけています。現業の物流部門をもっている情報会社は非常に珍しいと思います。もともとは、1947年に物流会社としてスタートしました。93年、鈴与グループに入り、98年に鈴与グループの情報子会社とシンワートが合併しました。売上構成比は65%が情報、35%が物流です。鈴与そのものは創業210年の老舗物流会社なのですが、ビジネスを展開するうえで、キーポイントとなっているのは「情報」です。ですので「情報」と「物流」を組み合わせれば、相乗効果が発揮できるだろうと考えました。
物流機能をもつ情報会社ということで、私どもの会社を知らなくても、ホームページをご覧になって、顧客から物流関連のシステム案件についての問い合わせがくるケースが増えてきています。
物流は非常に奥が深くて、港運、陸運があったり、倉庫があったり、航空輸送事業があったり、いろいろな領域があります。われわれは「国際物流」関連のシステム開発にフォーカスしています。
――資本関係のあるNTTデータの仕事も手がけていますね。
成岡 NTTデータ関連は、当社がスタートした当初からお話があったときに一緒に仕事をしています。得意なのは公共と金融分野。周知の通り、大型のオーダーメードの仕事が減ってきています。それにつれて当社における売り上げのボリュームも減少してきています。当社が事業の柱としてきたシステム開発の仕事から、サービス提供に力を入れるというふうに大きく舵を切っています。今はシステムを開発していくら、ではなく、サービスを提供していくら、になっていますから、徐々にクラウドサービスへの切り替えを行っています。
2~3年ほど前にクラウドという言葉が出てきたときに、ビジネスモデルがこれから変わってくるだろうという流れを察知して、他社よりも半歩先駆けてスタートしました。今、それが少しずつ商売になりつつあります。最終的には大きな柱になってくると期待しています。
――最初に手がけたクラウドのサービスは?
成岡 いわゆる「場所貸し」です。自社のデータセンター(DC)からサービスを提供し、今年で4年目になりました。今はSIやネットワークなどを含めてソリューションというかたちで提供しているケースが多くなっています。今回の大震災の後、システム開発では延期や中止になった案件も多かったのですが、サービスの需要は大きく伸びています。
DC事業を開始した当初、年間で1億5000万円から2億円くらいの赤字を出していましたが、それが毎年6000万円ずつ改善しています。あと3年はこの伸びが続くと思います。策定した3か年計画では、DC事業を非常に高くウエートづけしています。これによって安定した収入が見込めるので、財務面でも強い会社になれると確信しています。
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