JBCCホールディングスグループ(JBグループ)の中核事業会社であるJBCCが、体制を一新してワンストップサービスを強化する。国内事業会社を統合して発足した新生JBCCは、大手から中堅・中小のユーザー企業に至るまで、ワンストップで一貫したサービス提供に注力。日本IBMのトップソリューションパートナーとしての地歩をいっそう強固にしていく構えだ。さらにはアジア太平洋に展開するIBMグループのビジネスパートナーとしてIBMとの協業を深めていくことで、JBグループ全体で2014年3月期に年商1000億円、うちグローバル関連事業10%を目指す。4月1日付でJBCCのトップに就いた東上征司氏に経営戦略をたずねた。
経営計画2年目の難しい舵取り
──旧日本ビジネスコンピューター(JBCC)は4月1日付のグループ内の再編を経て、社名をJBCCへと変更。社長のバトンも引き継ぎました。
東上 グループ再編のキーワードは“ワンストップ”です。旧JBCCと大手ユーザー企業向けのビジネスを主に手がけていた旧JBエンタープライズソリューションを統合して、これにサービス会社の旧JBサービスのシステム基盤構築と運用事業などの一部事業を継承するかたちで、新生JBCCが発足しました。一連の再編で規模が一段と大きくなり、JBグループのなかでシステム構築(SI)事業を担う中核事業会社の存在感を強めた背景には、ワンストップでユーザー企業のニーズに応えるという狙いがあります。
顧客の企業規模を問わず、コンサルティングから業務アプリケーションの開発、運用まで、ワンストップで提供する体制をさらに強固にすることで、オーバーヘッドロスをなくし、事業を効率化する。SEや営業、スタッフ全員が、ユーザーすべてに感動してもらえるようなサービスをつくり出すことに全力をあげます。その結果として、顧客一人ひとりに当社のサービスが価値のあるものと感じてもらえるようになれば、ビジネスは自ずとうまくいくはずです。
精神論といわれるかもしれませんが、まずはこうした“顧客体験”を提供してこそ、当社のビジネスの拡大を見込めるようになる。顧客に感動してもらえるサービスづくりは、社長就任からこれまでずっと言い続けてきたことですし、これからも語り続けます。
──今期(2013年3月期)は、連結売上高1000億円の達成を目標としている中期経営計画の第2年目という難しい時期ですが、どう舵取りをしていきますか。
東上 私はこれまで日本IBMの立場でJBグループをみてきましたが、ユーザー思いのとても誠実な会社だという印象を抱いていました。実際、JBCCの経営を任されて社員と交流を深めるたびに、まじめですばらしい会社だと実感しています。ただ、それだけではビジネスを伸ばすことは難しいわけで、JBCCのよさを生かしながらも、イノベーションやビジネスのスピードを速めていかなければなりません。
JBCCは多種多様な商材をもっていますが、このなかで重点的に伸ばしていく分野はERP(統合基幹業務システム)と医療分野の二つです。さらにはシステム基盤を支えるアーキテクチャとしてIBM Power Systemsを主軸として位置づけています。自社で開発しているERP「EnterpriseVision(エンタープライズビジョン)」は年内にも機能を刷新して、市場での競争力を高めていく。また、医療分野はスマートコミュニティの重要な構成要素であり、当社として戦略的に取り組んでいかなければならない領域です。
──IBMソリューションとの連携はどうでしょうか。
東上 当社は、古くはAS/400から直近のIBM iに至るまで、IBMアーキテクチャに準拠したソリューションを綿々と受け継いできました。例えばIBM Power Systemsをターゲットとしたクラウドや、遠隔監視のサービスラインアップの充実を図ることで、日本IBMのトップソリューションプロバイダであるJBグループの特色を前面に出していきます。具体的には「JBクラウドサービス for IBM i」として、IBM iの環境をクラウド方式で提供するサービスを始めていますし、ほかにも遠隔監視サービスの「SMAC(スマック)」によって、ユーザー企業のBCP(事業継続計画)の支援に力を入れる。こうしたビジネスの柱を複数打ち立てていくことで、ビジネスを伸ばします。
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