大手SIerのJBCCホールディングス(JBグループ、山田隆司社長)の中国における販売網構築が大詰めを迎えている。今年5月、中国での四つ目の営業拠点を本格的に立ち上げ、今は北京地場の有力SIerとの協業に向けた最終的な交渉に入っている。北京地区での拠点整備で、高度成長を続ける中国沿岸部主要都市の営業カバー範囲が大幅に広がる。同社は向こう5年で連結売上高の10%を海外で売り上げる目標を掲げており、中国での営業網拡充によって海外ビジネスに弾みをつける考えだ。
北京オフィスの本格的な立ち上げによって、JBグループの中国における商流づくりの枠組みがほぼ完成する。かねてからJBグループのオフショア開発先として太いパイプをもつ大連地区にデータセンター(DC)を置き、ここを拠点にアウトソーシングや遠隔による監視運用「SMAC」サービスを提供。さらに各地の地場有力SIerと協力関係を築き、SIやソフト開発などマンパワーを必要とするビジネスもこなすスタイルだ。
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北京オフィスを統括する 森浩二董事 |
大連では大連百易軟件、上海では聯迪恒星(南京)信息系統、広州では広東華智科技など、地元有力SIerと協力関係にある。北京では「候補となる地場の協業先SIerの最終的な選定、交渉段階にある」(北京オフィスを統括するJBグループの森浩二董事)と、早い段階でパートナーを決める。いずれのパートナーも日系企業のシステム構築経験があることから、中国地場のSI案件のみならず、日系ユーザー企業向けのSIやソフト開発、ITサポートをカバーできる。JBグループは日本IBMのトップソリューションプロバイダであり、中国ではIBM中国の協力を得てIBM商材の販売も担う。
森董事は、今年3月末まで東日本地区の営業を統括していた経験上、「中国で本番機の稼働を検討するケースが増えている」と実感している。背景には日中間の通信回線事情が好ましくなく、中国からリモートで日本にある業務システムを使うことが難しいことや、製造業や流通業において中国での管理レベルを引き上げる動きが相次いでいることがある。生産や流通サービスの現場では、人件費高騰への対応でITによる効率化、品質向上が強く求められており、管理レベルの格上げなしには十分な競争力を得られない。また、東日本大震災を受けた事業継続プラン(BCP)の見直しの一環として、日中双方で生産設備や情報システムを保有するなど、リスク分散の動きも活発化する。
JBグループは2014年3月期までに連結売上高1000億円、向こう5年をめどに年商の10%を中国・ASEANで売り上げることを目指している。北京オフィスの本格立ち上げで目標達成に勢いをつける。(安藤章司)