ネットワークOS「NetWare」の不振で、業績が悪化し続けていたノベル。社員数も減り続けるなかで、2011年4月に米The Attachmate Groupに買収された。製品数が増えたにもかかわらず、依然として業績は回復せず、社員数もますます減っていくという「負のスパイラル」に陥った。そんななか、数々のベンダーで社長を務めて抜本的な改革を断行してきた公家尊裕氏がトップに就いた。公家社長は、現状のノベルをどう捉え、どのような成長路線を敷こうとしているのか。
ユーザー企業ごとの営業体制に再編
──社長に就任して、第一印象として感じたことは何ですか。 公家 社長が変わるのは、だいたいのところ会社の状態がいいわけではないので、変革していかなければならないと感じました。いくつかの会社で社長に就いてきましたが、正直なところ、この会社の第一印象はほかと比較して最悪でしたね。
──最悪……ですか。 公家 ええ。当社のこれまでについて話しますと、ネットワークOSの「NetWare」が順調だった10年ほど前、社員は300人以上いました。それが2005年頃から「NetWare」のビジネスが鈍化してきて、売上減に伴って社員の数も年々減っていった。そんななかで、昨年4月にThe Attachmate Groupに買収されたんです。これによって、ノベルと子会社のネットアイキューを統合することになり、しかもAttachmateも統合することになりました。私は、タンバーグがシスコシステムズに買収された2009年、タンバーグとシスコの統合をミッションとしてタンバーグの社長に就任したのですが、タンバーグは社員数がさほど減らなかったにもかかわらず、統合には苦労しました。今回は売り上げと社員数がともに減りながら、買収されて統合しなければならない。しかも、社員のモチベーションは下がりっぱなしで、ネガティブでエクスキューズを求める雰囲気が漂っていた。こうした最悪の状況のなかで、どうあっても会社の雰囲気を変えなければならないと考えたんです。
──具体的に、どのようなことに取り組まれたのですか。 公家 今までは、三つの会社が単純にロケーションを変えたというだけのものでした。例を挙げれば、旧ノベルの営業担当者は旧ノベルの製品を売っていたんです。製品のブランドごとに担当者がいるのは、お客様にとっては複数の窓口があるという煩わしさがあります。そこで、アカウント担当、パートナー担当の組織に再編しました。これによって、営業担当者がお客様やパートナーとの関係を深めるようになった。
──売り上げの面に効果は現れたのですか。 公家 もちろん、いい傾向が現れています。今年度(13年3月期)の第2四半期は、ここ3年間で最高の売り上げを達成しました。前四半期で底を打ち、V字回復の体制に入ったことは間違いありません。
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