ストレージシステムを展開するネットアップが、今年10月1日付で、経営トップを交代した。新社長は、岩上純一氏。3年前にネットアップに入社し、営業統括本部長として組織を大胆に再編。下落傾向にあったネットアップの業績を回復させてきた人物だ。岩上社長は、経営活動にあたって、武道の言葉「守破離(しゅはり)」を強く意識しているそうだ。守破離──(教えを)守る、破る、離れるをコンセプトに、日本でのビジネスを大きく伸ばそうとしている。
2016年度までに売り上げを倍増
──岩上さんは、2009年にネットアップに入社された段階で、数年後に社長に就任することが内定していたとうかがっています。 岩上 そうです。当時のタイ・マッコーニー社長が米国本社に帰任することが決まり、彼の後継者としてネットアップに入りました。これは、当社ではとくに珍しいことではありません。例えば、本社のCEOとか、CFO(最高財務責任者)も、入社から3~4年間の“修行期間”を経て、そのポストに就いています。
──ネットアップは、営業統括本部長を務めた岩上さんの下で、業績が大きく回復しましたね。 岩上 入社した当時、ネットアップの日本での売り上げが数期連続して減少していました。それに歯止めをかけるために、マッコーニー社長に「90日ください」と頼んで、根本的な組織再編に着手しました。製品力には自信がある。販売パートナーも強い。なのに、売り上げが減少しているのは、なぜか。私は、当社の営業やシステムエンジニア(SE)がパートナーとお客様とうまく連携できていない、これまでの組織の仕組みにその原因があるとみました。その打開策として、これまでの組織を大胆に再編し、各業種のお客様のニーズに迅速に対応できるインダストリーごとの営業体制を構築しました。ネットアップの営業/SEがフロントに出て、パートナーとお客様を積極的に支援する。そういう環境をつくりました。
そりゃあ、逆風は強かったですよ。「会社を潰しにきたんじゃないか」と、反発も受けました。しかし、私には絶対的な自信がありました。そして、成功したのです。私がネットアップに来てから、売り上げが一度も落ちていない。昨年度(2012年4月期)の日本での成長率は約25%でした。日本は現在、先進国のなかでネットアップのビジネスが最も伸びている国になっています。
──営業統括本部長を経て社長に就任された岩上さんは、さらにスピードを上げてビジネスを伸ばしていくと期待されているのでは? 岩上 その期待には、ぜひ応えたい。来年5月に始まる2014年度からの中期経営計画で、2016年度(2016年4月期)までに、日本法人の売り上げを倍増させることを目指しています。
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