電通国際情報サービス(ISID)は、電通グループの強みを生かすとともに、米ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁時代から綿々と培ってきた金融や製造業向けITシステムの得意領域を国内外で伸ばすことでビジネスを拡大しようとしている。2013年1月には台北支社が営業をスタート。ASEAN地域での事業拡大に向けては、現在のシンガポールに続いて、タイ・バンコクやインドネシア・ジャカルタの拠点立ち上げも検討している。電通グループの連携と自社がもつ強みを巧みに織り交ぜながらビジネスを伸ばす釜井節生社長に話を聞いた。
電通との協業ビジネスが本格的に拡大
──電通との協業ビジネスが堅調に伸びています。グループの強みを生かすという点では合理的ですが、過去の御社のビジネス形態をみる限りでは、従来、両社の協業があまり表に出ていなかった印象もあります。 釜井 電通はご存じの通り広告やマーケティングを専門に手がける会社で、いってみればユーザー企業の売り上げ増につながる仕掛けづくりを本業としています。ITを使って業務を効率化することも重要ですが、ユーザー企業にとって最大の関心事はやはり売り上げや利益を伸ばすことです。本来はもっと早くから協業を拡充すべきでしたが、当社の会社の成り立ちも影響してか、まだまだのところはありました。
電通の情報システム子会社として電通向けのシステム開発はもちろん手がけてきましたが、得意分野は金融機関向け業務システムや、製造業向けの製品開発支援などのエンジニアリングなんですね。ずいぶん前、私が電通で仕事をしていた時代は、電通国際情報サービスといえば“外資系の会社”という印象すらありましたからね(笑)。
ただ、国内市場が成熟するなかで、電通のノウハウを生かした売り上げ増につながる提案は欠かせませんし、業務アプリケーションの開発をメインとしているライバル企業との差異化にもつながります。そこで近年、力を入れてきたところ、電通との協業ビジネスの売り上げは今期(2013年3月期)見込みの32億円から来期は50億円ほどに拡大できるという手応えを感じています。
──“外資系の会社”ですか? そこまで企業文化が違うのに、ここ数年で協業が一気に深まったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。 釜井 当社は1975年に、電通と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社として、日本では民間初のコンピュータの「タイムシェアリング・サービス」を始めました。GEの巨大なコンピュータパワーを国際ネットワークを通じて利用するというもので、今でいうところの共同利用型のサービスです。金融機関の業務システムや産業分野の受発注システム、機械設計の構造解析システムなどの分野で高いシェアを獲得し、ここがSIerとしての当社の基礎となっています。
現在は、GEの資本は抜けて電通グループとなっていますが、当社が広告やマーケティングとは毛色の異なる金融や製造の業種に多くの実績をもっているのは、こうした背景があります。話が脱線してしまいますが、きょう「お気に入りのビジネスグッズ」として持ってきた電通の手帳ですが、電通国際情報サービスには電通とは異なる公式手帳があるんですよ。サイズはGE合弁時代の手帳と同じで、当時の伝統を受け継いでいるという意味で、私は外資系のようだという印象を受けたんでしょうね。
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