富士通のディーラーとして、情報機器の販売、ITシステムの運用・保守サポート、半導体など電子デバイスの販売を根幹に事業を展開してきたミツイワ。旧態依然のビジネスモデルでは収益を上げにくい状況になってきたことから、2012年6月1日付で社長に就任した小松拓也氏は、ビジネス基盤の再構築に向けてストックビジネスの拡充を推進している。また、従来の事業の枠を超えた新規プロジェクトの開拓にも乗り出した。
サポートメニューの拡充で利益率を高める
──御社は、情報機器や電子デバイスの販売、システムの運用・保守サポートを事業の根幹に据えておられます。これらの事業の最近の動きを教えてください。 小松 情報機器の販売は、量こそ減っていませんが、単価が下落していて、厳しいビジネスになっています。また、機器の単価下落が、修理サービスの単価下落を引き起こしています。そのため、サポート事業は、修理サービス以外で補っていかなくてはならない状況です。ですので、運用などのサービスでメニューを増やすことで落ち込みをカバーして、現状の業績を維持しているところです。電子デバイスの販売は半導体が中心ですが、市場が厳しい状況は周知の通りで、当社もその例外ではありません。
──厳しいビジネス環境のなかで、最も力を入れておられるのはどの分野ですか。 小松 ストックビジネスとなるシステム運用・保守サポートですね。当社は、もともと富士通のディーラーとして出発した企業です。これまで、富士通を中心とした他社のサービスに、ミツイワ独自の運用・保守サポートサービスを組み合わせて販売してきました。このストックビジネスの売り上げは、全体の3割ほどあるのですが、ミツイワ独自のサービスの部分がまだまだ少なくて、利益率が低い。ですから、当社独自のサポートメニューを増やして、ストックビジネスの基盤を構築することに最も力を入れています。
具体的には、お客様のシステム導入以降のヘルプデスクやシステム監視、作業の代行、非常時の対応など、ITのライフサイクル全般をカバーする「MSS(ミツイワサポートサービス)」と、従来でいうハードウェアの保守契約にあたる「スタンダートサポートシリーズ」を二本柱として、それぞれのサービスメニューを拡充し、利益率を引き上げようとしています。
──利益率にこだわっておられますが、現状はどれくらいで、どう伸ばしていくつもりですか? 小松 具体的な数字を出すことは難しいですね。しいていえば、サービスメニューあたりの粗利を50%にすることが一つの目標です。
──富士通のディーラーとしてスタートしておられますが、今でも深い関係があるのですか。 小松 創業時からのつき合いですから、太いパイプで結ばれています。今でも、売り上げのおよそ半分くらいは富士通関連のビジネスによるものです。ただ、昔は単なる富士通ディーラーでしたが、今はパートナーの関係です。富士通製の汎用機やオフコンを売るだけでなく、両者の強みを組みあわせてソリューションを展開しています。
──クラウドソリューションの分野は、国内ベンダーよりも海外ベンダーのほうが優勢です。御社は、クラウドの分野でも富士通と強力なパートナーシップを結んでいくつもりですか。 小松 富士通と一緒にやっていきたいですね。ただ、富士通のサービスに、当社のもっているサポートのメニューを組み込んでほしいといった要求を出しながら、メニューをつくってもらえるようにしていかなければならないと考えています。
また、富士通のサービスだけを頼りにするのではなくて、自分たちで独自にサービスメニューを創っていく必要があります。サポートサービスは“箱”がなくてもできるサービスです。お客様が自分でも気がついていないようなニーズを掘り起こしていけば、できるはずです。
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