ソフォスは、英国発祥の世界的なセキュリティソリューションベンダーでありながら、B2Bに特化したビジネスモデルということもあって、競合に比べると日本市場では地味な存在だったといえるだろう。しかし、グローバルで「チャネルファースト」の方針が掲げられ、時を同じくして日本法人の社長に纐纈昌嗣氏が就任すると、雰囲気はがらりと変わった。外資系ベンダーでチャネル開拓請負人として実績を上げてきた新社長は、そのノウハウと人脈を生かし、販路拡大に向けた取り組みを積極的に展開。すでにアクセル全開だ。
ハイタッチからパートナー中心のビジネスに
──前職では、外資系Linuxディストリビューションベンダーの大手、レッドハットで国内チャネル網を構築し、パートナービジネスの「顔」として活躍されました。その纐纈さんが、セキュリティというまったく異なる分野のソフォスで日本法人のトップに就かれたのは驚きでした。 纐纈 確かに、ソフォスというのは、業界でもあまりなじみのないセキュリティベンダーかもしれません。しかし、私自身はかなり前から関わりがあったベンダーです。例えば、以前在籍していたサン・マイクロシステムズは大手UNIXベンダーでしたが、UNIX向けのセキュリティソフトベンダーはソフォスしかいなかった。それは現在も変わりません。また、レッドハットで手がけていたLinux向けでも、ソフォスは非常に有力なセキュリティベンダーでした。
ソフォスはグローバルでチャネルを重視していく方向にシフトして、「チャネルファースト」戦略を掲げました。日本でもその方針を理解して、有効な施策を確実に実行できるリーダーを探すことになったのですが、ちょうどタイミングがよかったこともあって、私が日本法人のトップに就任したということです。
──社長就任の1か月後には、新たなパートナープログラムの方向性を打ち出されました。非常にすばやい動きでしたね。 纐纈 ソフォスの根本的な課題として、お金を儲けにくいビジネスモデルだと感じていました。セキュリティ製品はそれほど販売単価が高くないのですが、これまでは、ハイタッチ営業を頑張って、何とか大きい案件を取るという戦略でやってきました。しかし、それでは成長に限界がある。次の段階に行くためには、パートナー中心のビジネスモデルへの転換が必要でした。
実は、入社前から本社のクリス・ヘイゲルマンCEOや、私の上司にあたる営業担当のシニア・バイス・プレジデント、さらには日本法人のスタッフとも議論を重ね、そうした理解を共有していました。外からは突然の方針転換にみえたかもしれませんが、きちんとした背景があって、まずは新たなパートナープログラムを立ち上げて販路を大幅に拡充していくという方針を打ち出したのです。
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