東芝ソリューションは、東芝グループとの結集力を生かして、クラウドを中心とするサービスビジネスへの転換を推進していく。東芝の電力や社会インフラ、設備、ヘルスケアなどの事業部門が必要とするクラウド基盤を担うとともに、ここで得たノウハウを東芝ソリューションの既存顧客が抱える課題の解決に役立てる。こうすることでSIerとしての東芝ソリューションの競争力を強化する考えだ。同社はこれまで、ややもすればクラウドの分野で同業SIerのリードを許す局面もあったが、東芝グループの結集力をテコに巻き返しを図る。東芝社内カンパニーのクラウド&ソリューション社社長と兼務するかたちで、今年6月、東芝ソリューションのトップに就任した錦織弘信社長に事業戦略をたずねた。
受託型のシステム開発からサービス型へ移行
──東芝社内カンパニーのクラウド&ソリューション社社長を務める錦織社長が、東芝ソリューションのトップを兼務するようになったことで、東芝ソリューションと東芝本体との一体化が進んでいる印象を受けます。 錦織 東芝本体との「一体化」というより、東芝グループの「結集力」というほうが正しい形容の仕方です。東芝には電力や社会インフラ、設備、ヘルスケア、電子デバイス、ライフスタイルなどさまざまな事業部門がありますが、そのすべてがITを必要としています。とりわけ、クラウドコンピューティングの基盤を求めているのです。このクラウドを提供する能力を有するのが東芝ソリューションであり、東芝の社内カンパニーのクラウド&ソリューション社とともに、東芝グループ全体に向けてクラウドソリューションを提供するというのが、今の東芝ソリューションの大きなミッションです。
もちろん、東芝ソリューションの既存顧客をないがしろにするわけでは決してありません。むしろ、東芝ソリューションが東芝グループが展開しているさまざまな事業分野で経験を積むことで、東芝ソリューションの顧客に向けてのノウハウの還元がこれまで以上にやりやすくなる。既存顧客が抱える問題の解決能力を高めるためにも、東芝グループの結集力を活用していかなければならないのです。
──東芝の各事業グループが、それぞれの事業領域で競争力を高めていくために、クラウド基盤を必要としているのはわかります。ただ、失礼な言い方ですが、東芝ソリューションが他の大手SIerに比べて積極的にクラウドに乗り出してきたという印象はあまりありません。 錦織 同業他社に比べてクラウドの運用基盤となるデータセンター(DC)などの設備投資が不足気味だと指摘されているのですよね。確かに巨大なDC設備を同業他社よりも率先して投資してきたとは言い難いところはあります。そこで、今年2月、世界150拠点あまりにDC拠点を展開しているNTTコミュニケーションズとの協業を発表しました。4月からは北米とアジア地域で、東芝グループが提供するサービスをNTTコミュニケーションズのインフラを使って利用できるようになりましたし、今後は、順次、欧州など提供エリアを広げていきます。
東芝ソリューションは、SIerとしてシステム構築事業を主に手がけてきましたが、今回、東芝のクラウド&ソリューション社とともに、東芝グループ全体のクラウド基盤を手がけることで、本当の意味でのクラウドを中心としたサービスビジネスモデルへ転換できると踏んでいます。クラウドへの移行は、これまでの受託型のシステム開発からサービス型へ移行するのと同義だと捉えています。
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