インターコムが、ビジネスの新しい方向性を見出そうとしている。コンセプトは「通信・連携」。これまで独立していた通信を軸とした各製品を連携させて、さまざまなソリューションを提供。新コンセプトの下、販社がさまざまな角度からユーザー企業に対して販売できる環境をつくっていき、ビジネス領域を広げていく方針だ。6月27日付で社長に就任し、「これまでの『役割』を進化させる」と話す松原由高氏に、新しい方向性と今後の戦略を聞いた。
「営業好き」がそのまま社長になった
──まずは松原さんの肩書きについておたずねします。新任のトップが「社長兼営業本部長」というのは、あまり聞いたことがありません。社長を務めている間に業績が落ち込んで、テコ入れのために営業本部長を兼務するという例はあるかもしれませんが……。松原 テコ入れとか、そんな意味はありません。当社に入社したときから営業をやってきましたし、社長としてビジョンやコンセプトを掲げるだけでなく、現場に行って、お客様に対して当社が実現できることを私からもきちんと伝えたいので、営業を続けています。あと、社長になったから社員とは一線を画した仕事をしなければならないというのも自分の性分ではないというか、アクティブに動きたいというか……。やはり現場が好きなんですかね(笑)。
──社長に就任されてから3か月余りが経ちました。この間、何か変化はありましたか。松原 これまでIT資産管理ソフト「MaLion」で新規顧客開拓に携わり、リモートコントロール「LAPLINK」の開発などに関わってきました。プロジェクトを進めていく過程で、大雨でずぶ濡れになったり、案件の獲得に喜んだりと、社員と一緒になって苦楽を共にしてきましたので、社長に就任したからといって、今までのスタイルを変えようとは思っていません。この会社に入社しておよそ4年経ちましたが、その間に社員を通じてわが社のカルチャーを学んできたので、少なからず会社としてどのような方向に進まなければならないかを把握しているつもりです。入社して、いきなり社長に就任したわけではありません。その点は、前社長(現会長)の高橋(啓介氏)が考慮してくれたのではないでしょうか。
──となると、すでに松原社長の描く方向に進んでいるというわけですか。松原 「進むべき方向がみえた」とでも表現すればいいでしょうか。当社の設立は、パソコンが業務に使われるようになった頃で、インターネットやLANなどによって機器が有機的につながっていくという環境が整備されつつあるなかで、製品を開発して育ってきました。その代表例が、FAXソフト「まいと~く」シリーズなのですが、パソコン通信の時代から発売し、市場全体で機器をつなげる意味合いが変化しているなかで、今では当社の製品がこれまでとは違った使い方をされていると考えています。つまり、当社の「役割」が変わってきたということです。今までは機器同士をつなげる役割を果たす製品を出していけばよかった。しかし、今後は、つなげた機器が連携するような取り組みをしていかなければならないと考えているのです。そのために、私が当社に参加したと認識しています。
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