クラウドがビジネスの制約を取り払った
──早めに手を打って、まずはアジアに進出するということですね。日本市場だけでは、やはり厳しいですか。 小椋 たまたまクラウドの波が来たので、私たちの製品が売れる市場が形成されつつありますが、日本全体が成長市場であるかといえば、それは疑問です。
一方で日本以外のアジア諸国のなかには、出生率やGDPの成長率などでみると、今はまだ小さい市場でも、5年先、10年先をみれば、かなりの巨大市場になるだろうという国がいくつかあります。そういう国・地域は、今から市場開拓の準備をしておいたほうがいいだろうということです。
──国内市場が飽和するという論調は、過去何度も聞かれたように思いますが、このタイミングで海外に出るというのは、何か決定的な要因があるのでしょうか。 小椋 クラウドの普及がやはり大きいですよね。私たちも、過去、オンプレミスのソフトウェアを売っていた時代に、アジアに製品を売ってみようとチャレンジしたことがあります。しかし、誰がデリバリして、サポートするのかという課題をなかなかクリアできず、あまりうまくいきませんでした。
その点、クラウドにはそうした障害はありません。HDE Oneに関しては、私たちが仕掛ける前に、海外で使いたいという要望がユーザー側から出てきました。そこで、リモートで対応できる案件はすでに動いているのですが、それなら、現地に拠点を置いてマーケティングや営業に本腰を入れれば、さらに案件を発掘できるのではないかと考えたわけです。現在は出張ベースで仕事をしていますが、まさに今、拠点を整備中です。現段階での顧客は日系企業限定ですが、ローカルのマーケットにもアプローチしていきたいですね。
──成長するためには、パートナーエコシステムをどう構築するかも課題になってくると思います。1月にパートナー営業部を新設したとうかがいましたが、どんな狙いがあるのでしょうか。 小椋 この5年くらいで、パートナーもクラウドに対する考え方が変わったと実感しています。とくにマイクロソフトのパートナーは、サーバーを売ろうとしているパートナーが多かったですね(笑)。しかし、今はパートナーが自社でもクラウドやモバイル環境をしっかり使って、顧客への提案につなげているケースが多く、協業の場面が非常に増えました。彼らとの連携をさらに深めて、案件開拓に取り組む環境になってきたということで、パートナー営業部を立ち上げたわけです。海外に関しても、すでに拠点をもっておられるパートナーとは先行して現地の案件を攻めるということを模索しています。
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