営業の前線で残る単品売りの意識
──新しい中計の高いハードルを越えるためにやらなけれならないことはなんでしょう。 山本 例えば、従来の主力である複写機系のハード製品だけでなく、CRMやドキュメント管理、画像認識技術を活用したマーケティングサポートサービスなど、クラウドサービスのラインアップが増えてお客様に支持をいただいているのはいいのですが、営業の前線では、まだこれらを単品として捉える傾向が残っています。個々の製品やサービスを連携させ、普遍的なソリューションに仕立てていく取り組みは、継続していかなければなりません。「モノ売りからコト売り」というのはそんなに簡単なことではなく、お客様としっかり接点をもち、ニーズに着眼して、ソリューションを構築していく必要があります。しかし、地域や産業ごとにみると、それがどの程度できているかという点でバラツキがある。
──12年に、販売会社を束ねる地域統轄会社を6地区に設立されましたが、これはまさにそうした取り組みをリードするための組織ですね 山本 地域統轄会社を設立したからこそ、ソリューション・サービス事業がここまで伸びたのだと考えています。SEなどの新しいリソースを地域の販売会社で共用したり、販売会社がそれぞれ個別にもっていた産業特化の提案ノウハウの共有、水平展開などは、着実に進んできています。結果として、従来の販売会社単独のビジネスでは考えられないような大型案件も出てきていますし、案件の数も増えています。ただ、まだ道半ばの部分があるということなんです。
また、案件が増えていることもあり、今後もお客様の困りごとに個別に対応していくだけでは、当社のリソースも間に合わなくなってしまいます。産業別のベストプラクティスをパッケージ化して、ソリューション提案の内容について一種の標準化を図るのも、2年間で進めなければならない課題です。
──具体的な施策は? 山本 富士ゼロックス本体のソリューション・サービス事業を統轄している事業本部から、100人に及ぶ重要なSEを地域統轄会社に出向させていて、彼らが上がってくるすべての案件を管理しています。すでにこの取り組みを初めて2年が経ちますが、ソリューション・サービス事業の底上げには確実につながっていますので、それを継続し、業種別提案の「標準化」までやってしまおうということです。当然、複写機やMFPも進化させますが、コトのなかにモノを適切に組み込んでお客様に提供できる体制とスキルを、地域のムラなく整備したいですね。
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