ソーシャルメディアやモバイル端末の普及など、消費者のニーズを把握しやすい環境が整ったことで、マーケティングのあり方が大きく変わりつつある。デジタルマーケティング市場に多くのITベンダーが参入しているのは、そのためだ。なかでもデジタルマーケティングの専業ベンダーとして、マルケトが存在感をみせている。今年の4月だけでも、米グーグルや米LinkedIn(リンクトイン)との協業を発表するなど、マーケティングの世界で影響力を増している。ただし、日本市場の開拓は容易ではないはず。アート(職人技)が重視されがちな日本のマーケティングではテクノロジーを嫌う傾向があるからだ。そこをどう攻めるのか。代表取締役社長を務める福田康隆氏に聞いた。
行動ベースのマーケティングが特徴
──世の中には、マーケティングオートメーション(デジタルマーケティングの自動化ソリューション)が数多くあります。それぞれメリットを主張していますが、正直、違いがわかりにくい。御社のソリューションは、他の製品とどこが、どのように違うのですか。 福田 いきなり、プレッシャーをかけてきますね(笑)。まずは、マーケティングの自動化(オートメーション)がなぜ注目されているかについてご説明します。ここ数年のモバイル端末やソーシャルメディアの普及などによって、個人で情報を発信できる環境が整ってきました。一方で、消費者にとっては、入手できる情報が多過ぎて、何が自分にとって大切かが捉えづらくなっています。これでは、企業側も、マーケティングメッセージをターゲット顧客に伝えにくい。マーケティングオートメーションは、この問題を解決する有効な手だてなんです。
── 要するに、消費者の属性情報をもとにセグメントをかけて、メッセージを届ける作業を自動化すると。 福田 大抵のソリューションはそうでしょうが、それだけでは不十分なんです。例えば、私に自動車を勧めるとします。40代男性でIT企業に勤めていることから、ハイブリッド車や電気自動車が候補になるとします。でも、私がウェブサイトで見ているのがSUVだとしたら、欲しいのはSUVのはず。つまり、オンライン上での行動情報を補足しないと、人の嗜好や現在のニーズを正しくつかめず、適切なメッセージを届けられないわけです。マルケトは、そんなオンラインの行動情報をうまく使ったワン・トゥ・ワン・マーケティングを実践しようとしています。つまり、行動ベースのマーケティングですね。
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