顧客の声をしっかりと聞く
──社長に就任されて、社内では社員のコミュニケーション向上につながる環境をつくるということですが、社外に対して行ったことは何でしょうか。 当社にとって、お客様というと販売パートナーとユーザー企業がいるのですが、とくに販売パートナーの声をしっかりと聞くということに専念しました。当社は、他社と比べて技術力が高いと自負しているのですが、お客様が欲しがらない技術は意味がないと判断しているからです。
──どんな声が挙がってきましたか。 現状の製品だけでなく、しっかりと旧製品もサポートしている点は高い評価を受けました。そのサポートを今後も継続してほしいという声があり、これは強みと捉えています。ただ、一番の強みである技術力に関しては、残念ながら、販売パートナーさんから「他社さんと比べて、とくに最先端をいっているとは思えない」との指摘があった。ですので、今後は投資額を上げるなどR&D(研究開発)に力を入れなければならない。製品の拡販やビジネスの拡大に向けて、技術力に関して「当社>販売パートナー」という構図をつくるなど、お客様の誰もから、当社の技術力を認めてもらえるようにしなければならないと捉えています。
──現段階で、高い技術力を駆使した製品はあるのですか。 当社は、従来のサーバー領域と、Linuxを生かした組み込み領域の両方をカバーしていることが強みです。サーバー領域のLinuxディストリビューションでは、他社に勝っているかといわれれば、決してそうではありません。むしろ負けていることを認めざるを得ない。ただ、クラウドサービスが台頭しているいま、事業者の方々がクラウドサービスを提供するうえで最適な基盤を構築するという点では、小回りが利きますので、さまざまなニーズに応えることができて優位性があると確信しています。
──組み込み領域で新しい取り組みとして実現したビジネスはありますか。 たとえば、「IVI(車載インフォテインメント)」では車載システムを提供するユビキタスさんと、自動車メーカーや機器メーカーを対象として、スマートカー実現に向けたソフトウェア開発などで提携しました。この提携によって、次世代ハイエンド車載情報端末向けSoC「R-Car」シリーズを提供するルネサステクノロジさんともアライアンスを組んでいます。また、当社のグループ会社であるサイバートラストの認証などセキュリティソリューションや(親会社の)ソフトバンクテクノロジーのデータセンターを使ったサービスの提供によって、日本発となるスマートカーの提供が可能になりました。日本市場はもちろん、クルマへのIVI搭載が標準化しつつある新興国でも、需要が発掘できる可能性が十分にあります。
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