海外で通用する知財を手に入れる
──コンサルティングのキャリアをもつ此本さんご自身は、「全体を見渡せる」ようになったのは、どのようなタイミングからでしたか。 そうですね、駆け出しの頃は、客先の担当者しかみえていなかったこともあり、なかなか上手くいきませんでした。組織全体がみえてきたきっかけは、中堅のオーナー企業を何社か担当させてもらった頃からでしょうかね。どう表現すればいいのか難しいのですが、創業者ならではの“視座”みたいなものがあるのです。
もちろん経営者は皆そうしたものごとをみる姿勢をもっているのですが、客先のオーナー社長と接するなかで、多くのことを学ばせていただきました。会社組織の全体像がなんとなく掴めるようになってからは、徹夜して、消耗して、それでも成果を上げられないという負の連鎖から抜け出すことができた。まぁ、10年位かかりましたけれど(苦笑)
──今年4月以降、此本体制になってからは、これまで以上にグローバル市場を意識しておられます。 2022年度に向けた長期経営ビジョンでは、海外関連ビジネスの売り上げを1000億円まで拡大させる目標を掲げています。昨年度(16年3月期)の海外関連の売上高比率が6%(約250億円)程度ですので、ざっと4倍に増やそうとしていますが、正直、これまでの延長線上で達成できる数字ではありません。前の中期経営ビジョンのスタートだった07年頃は、アジア成長市場、とりわけ中国でビジネスを伸ばせると期待していたのですが、そうはならなかった。
当社は証券や保険をはじめとする金融業界向けに、複数の業界標準ビジネスプラットフォームを展開することで、業界に先駆けてサービス型ビジネスを立ち上げました。これによって情報サービス業界でトップクラスの高収益企業になり得たわけですが、一歩海外に出ると業法や商慣習が大きく異なるため、そのまま横展開するのは難しい。とはいえ、海外のSIerをM&A(企業の合併と買収)で単純に連結対象にするだけでは、売り上げは増えても、のれん代などで利益率が下がってしまいます。そこで、価値(収益力)を重視する当社としては、海外で価値を発揮する知的財産を手に入れながらビジネスを伸ばしていくという考えです。
[次のページ]