働く人にとっての社会インフラになる
──今後の成長戦略についてもお聞かせください。
一つは、販売体制の強化です。当社はほとんど直販を行っておらず、代理店を通じて製品を販売していますが、地場の代理店をより厚くサポートさせていただくために、拠点を少しでも多くもちたいと思っています。現在は横浜と大阪にありますが、その他の主要地域にも拠点を設けていく予定です。
──海外展開も、今後の方針として掲げていますね。
海外での活動も強化していきたいと思っています。「コラボレーションツール」といったりしていますが、「グループウェア」という言葉は海外では通じないんです。これは日本の働き方から生まれた日本の文化なんですね。
日本のワークスタイルを真似て頑張っていこうとしている国々には勝算があると思っていて、そういうところも当社のターゲットにしていきたい。とくに東南アジアです。われわれの製品は英語と中国語に加えて、マレー語やベトナム語にも対応しています。近いうちに、そうした国に拠点を置いて、活動を広げて行きたいと考えています。
また、自分たちが行くのもありますが、海外から来てもらったほうがいいなとも思っていますので、国内の技術開発の環境を新たに拡大していく予定です。すでに外国人の雇用も始めています。一部上場を機に社員を増やしていこうというなかで、外国人も非常に重要なターゲットです。
──今後、どのようなことを目指しますか。
働く人たちのための社会インフラになりたいですね。今、当社製品のユーザー数は約360万人いて、いずれはそれが1000万人になるでしょう。働く人の1000万人ってすごいじゃないですか。社会的な影響があると同時に、避けられない責任も出てきますよね。電気や水道が止まると困るのと同じように、グループウェアがないと困る。逆にいうと絶対必要といわれるようなツールをつくっていきたいです。そのために腕を磨いていくとともに、その責任を負える会社となるべく、粛々とやっていきたいと思っています。
われわれがやりたいのは、お客様に喜んでもらえるような、
いいものをつくること。それができれば自然と評価されて
くるのではないでしょうか。
<“KEY PERSON”の愛用品>心拍数も測れるすぐれもの
「音楽が大好き」という齋藤社長。ボーズ製ワイヤレスイヤホンを愛用。仕事中や帰宅後、趣味のトレーニング中などによく聴く。基本的に「ものにこだわりがない」そうだが、「同じものを三つもっている」というセリフからはこだわりがうかがえる。


眼光紙背 ~取材を終えて~
創業以来、右肩上がりで増収を続け、「一回も下がったことがない」という。こうした実績に、「少しずつ製品を認めてもらっているのでは。会社としては、身の丈に合った成長を続けているだけだ」と謙虚に話す齋藤社長。
インタビュー全体を通してよく聞かれたのが、「楽しい」や「チャレンジ」といった言葉だ。東証一部への上場を果たし、ビジネスとしての会社の成長ももちろん重要だが、それよりも「ものづくりの楽しさ」を追求する。「やはり楽しいのが一番。ものをつくって、一番やったと思う瞬間はお客様に喜んでもらったときだ」。顧客の声を積極的に聞いて製品に反映すると同時に、技術的にもさまざまな挑戦を行う姿勢とエピソードには、エンジニア魂が籠っている。
齋藤社長自身、記者からのどんな質問に対しても、はきはきと、少し早口に、笑いを交えながら楽しそうに話してくれた。(宙)
プロフィール
齋藤晶議
(さいとう あきのり)
1961年、宮崎県生まれ。宮崎県立小林高校卒業後、日本電信電話公社(現NTT)に入社し、企業内大学である「電気通信大学部」に入学する。卒業後は横須賀通信研究所に光通信方式の研究員として配属。その後渡米し、UNIXの技術を学ぶ。帰国後は、国内中堅ソフト開発会社に入社。92年にネオジャパンを設立し、代表取締役社長に就任。
会社紹介
1992年2月に設立。グループウェア「desknet's NEO」をはじめとする業務支援情報共有ソフトウェアを開発・提供している。15年11月、東証マザーズに上場。今年1月に、東証一部に上場市場変更を果たした。従業員数は92人。18年1月期の売上高は23億1200万円。