国内主要ITディストリビューターであるシネックス日本法人が、社名を「シネックスインフォテック」から「シネックスジャパン」に変更した。日本市場で50年以上歩んできたIT商社としての歴史と、シネックスグループがもつグローバルノウハウの融合をさらに加速するという。社名変更と同時に新社長に就任したのは、マイクロソフトやデルで法人向け事業を担当してきた國持重隆氏。デジタルトランスフォーメーション(DX)時代におけるディストリビューターの役割を聞いた。
二つのDNAをもつIT商社
――國持社長はこれまでもさまざまなIT業界の外資系企業を経験されてきましたが、昨年シネックスジャパンに来られてからは、どんなことに取り組まれたのでしょうか。
入社前、現CEOのティージェイ・トロージャン(前社長)と話をする機会があったのですが、そのとき「購買、物流や業務効率の面で課題を抱えており、そこをうまく回してくれる人を求めている」という話をされて、コンサルティングやSCM(サプライチェーン管理)などに携わってきた自分の経験や知識が生かせるのではないかと感じました。個人的にも、現場により近いビジネスに強い興味を持っており、ティージェイと仕事をしてみたいと思ったことから、オペレーションを統括する役割として当社に入社することを決めました。入社後は、購買から経営企画、一部の人事など、バックオフィス部門の多くを見てきましたが、特に業務効率の改善にフォーカスし、社内業務の可視化に力を入れました。
――「働き方改革」は商材として近年引き合いが多いと思いますが、自社としても取り組んだということですね。
業務可視化プロジェクトでは、従業員がどのアプリケーションをどれだけ使っているかをモニタリングするツールを活用し、就業の状況を確認・分析していますが、実際にツールを使ってみると、これがテレワーク環境に非常に有効であることが分かりました。テレワークを導入すると、管理部門は社員がちゃんと働いているのか不安になるため、社員に日次のレポートや電話報告を求めるといったケースがままあると思いますが、せっかく通勤時間が不要になり、働き方の融通が効くようになったのに、報告で新たな手間が発生すると、テレワーク活用の意欲も減退してしまいます。しかしモニタリングツールを使えば、特別な報告をしなくても、普段の業務を継続するだけで就業状況を証明できます。このように活用ができると当社が実感したソリューションは、説得力をもって再販することも可能になります。
――トロージャン前社長は、米シネックスに戻りながら、日本法人のCEOも継続して務めておられますが、CEOと國持社長はどのように役割分担されていくのでしょうか。
シネックスジャパンは、関東電子時代から50年以上の歴史を重ねた日本のIT流通業者であると同時に、グローバルのシネックスグループの一員という、二つのDNAをもった会社です。この強みを生かせるかどうかは、米国本社に蓄積されたベストプラクティスや、グローバルで実績のあるソリューションを、日本の市場へ受け入れられる形でいかに早く移管するかにかかっています。先日まで社長を務め、日本のIT市場を熟知したティージェイが、引き続き日本のビジネスに責任をもったまま米国へ戻ったことで、本社と日本のつながりはこれまで以上に密になると考えています。米国から日本へより多くの情報が入ってきますし、サービスが展開されるスピードも格段に上がると期待しています。
――社名を「シネックスジャパン」に変更したことにも、同じような狙いがあるということでしょうか。
グローバルとのつながりがわれわれのアイデンティティーと考えていますので、シネックスグループの一員であることを、より分かりやすい形でお伝えしたいという思いがあります。また、シネックスグループは近年、BPO事業者や、ネットワークやセキュリティーを手掛けるサービスプロバイダーを傘下に加えており、従業員はグループ全体でおよそ22万5000人の規模にまで成長しています。グローバルでは祖業のIT商材販売も全体的に非常に好調なので、それにあやかりたいという気持ちも、正直を申し上げるとあります。ただ、日本が成熟市場だということは本社も理解しているので、国内ではいたずらに売り上げを追うというよりは、注力分野できちんと収益を高めることに注力していく戦略をとっていきます。
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