クラウドで大ヒットを狙う
――やはり製造業を中心に、「ものづくりデジタライゼーション」への投資意欲は旺盛なものがあるということでしょうか。
ユーザー側に非常に大きな危機感があるんですね。だからそこに当社も応えていかなければならない。グローバルで戦っていこうという日本の製造業をしっかりITで支えて競争力を高めるお手伝いをしないといけないんです。
この点は日本経済全体の大きな課題として捉えられるようになってきているという実感もあって、新卒採用などでもそれは感じるんです。グローバルな製造業のデジタル化やIoTといったキーワードを学生のみなさんはすごく気に留めていて、インターンや新卒採用で優秀な学生を集めやすくなっています。当社の社会的な役割に共感していただくケースが増えていると言えるかもしれません。
――IoTソリューション群は米国で現地企業向けのビジネスなども拡大していきたいと以前おっしゃっていました。
北中米で案件が出てきていますね。米国の「ラストベルト」やメキシコでは需要があると確信しています。当社のものづくりIoTソリューションは、製造現場の改善やデジタル化に資するもので、日本市場で磨かれたものです。この種のソリューションは、日本で通用すれば海外でも通用します。米国はトランプ政権になってから製造業の国内回帰とともに投資が進んでいますし、トップダウンでERPを入れるとかは得意でしょうが、製造現場の改善は日本のほうが得意です。米国では現地で従業員の採用も進めていて、いよいよ本格的な拡販の環境が整ってきたと思っています。
――現在掲げている中期経営計画も最終年度に入りました。
中計の目標ははるかに上回りましたし、基本的な路線が変わらないというのは申し上げたとおりです。あとはビジネスモデルとして、SI、パッケージベンダーと拡大してきましたが、これにクラウドを掛け合わせて、爆発的な大ヒット商品をつくっていくことにチャレンジしたいですね。
日本の製造業がものづくりデジタライゼーションを実現できるよう、「One B-EN-G」として当社の総合力を存分に生かして価値提供していきたいと思っています。
Favorite
Goods
ブルースハープの達人として、東京のブルースシーンでは有名人。ハープはもとより、ビンテージのマイク、そしてハンチングがステージ上の相棒だ。海外出張でも現地のライブハウスでの飛び入り演奏経験多数。
眼光紙背 ~取材を終えて~
“生きたエコシステム”をつくるブルースマン
昨年3月、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、現ビジネスエンジニアリング)が東洋エンジニアリングや従来の大株主である野村総合研究所との資本関係を解消した後、新たな大株主には、同社と付き合いの深いITベンダーが複数社名を連ねた。もともと株主だった図研は筆頭株主に繰り上がり、三谷産業、ウイングアーク1st、インテック、キヤノンITソリューションズの6.0%などが続く。大澤社長は業務上のシナジーが大きい彼らと、いかに“生きたエコシステム”を新たに構築できるかが、B-EN-Gの今後の成長のカギを握ると考えている。
知る人ぞ知るブルースマンである大澤社長は、海外出張時、現地のライブハウスに飛び入りして、国境を越えて音楽活動のコミュニティーを構築・拡大している。共創のエコシステムづくりも、勘所は同じなのかもしれない。
プロフィール
大澤正典
(おおさわ まさのり)
1953年8月生まれ。福岡県出身。京都大学大学院工学研究科を修了し、78年、東洋エンジニアリングに入社。99年4月、東洋エンジニアリングの産業システム事業本部が東洋ビジネスエンジニアリングとして独立したことに伴い、同社に入社。2004年に取締役、06年に常務取締役、08年には代表取締役・専務取締役に就任。14年6月、代表取締役社長。
会社紹介
大規模プラントの設計や機器調達、建設などを手掛ける三井系のエンジニアリング企業である東洋エンジニアリングの産業システム事業本部が前身。1991年、日本初のSAPパートナーとしてERPビジネスを開始した。96年には、自社パッケージ「MCFrame」をリリース。99年、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)として開業。2007年、海外拠点会計パッケージ「A.S.I.A.」事業を統合。13年4月、東京証券取引所市場第2部に株式上場。14年4月、東証第1部に株式上場。18年3月、東洋エンジが同社株を全株売却したことにより、資本関係が消滅。今年10月、ビジネスエンジニアリングに社名変更した。