日本企業の変革を支える
――社長としての目標はありますか。
“社長”というよりは、“会社のリーダー”という意識のほうが強いですね。社長でなかったとしても、昔から「リーダーとしてこうしていこう」という思いがあったのと同じです。
当社のリーダーとなって改めて思うのは、日本はチャレンジが苦手な国で、このままだと海外のいろんな勢力に負けてしまうという危機感です。日本の企業はなぜリスクを取って改革できないかというと、「失敗したらどうしよう」「現実的にできないのではないか」と考えて尻込みしているところがあるのではないかと思います。
これまで、顧客企業の将来像をイメージしてそれを現実にする力をずっと示し続けてきていますが、いまの当社の人員規模のITコンサルティング事業でできる企業は限られてくるということもあり、このスピード感だと日本を変えられないと思います。そうした意味では、もう少しお付き合いできるお客様を増やしていかないといけない。
――とはいえ、近年は新しい顧客が増えてきているとうかがっています。
そうですね。IoTやAIというきっかけがあり、昨年からMaaS関連でインフラ系のお客様が増えてきました。新しい分野でのフューチャーのチャレンジを見て、新しい層のお客様が来ていただいたりと、幅は広がってきています。これまであまりお付き合いがなかったような新しい分野のお客様もどんどん拡充していきたいと考えています。
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スペインのブランド「ロエベ(LOEWE)」の名刺入れを愛用。フューチャーアーキテクトの社長就任祝いに、同僚からサプライズで贈られたものだという。「みんなの思いが詰まっていてうれしい。大切に使っている」と笑顔で話す。
眼光紙背 ~取材を終えて~
失敗しても、次のチャレンジを恐れない
10年以上勤めたフューチャーを介護のため退職して一度キャリアを断念。復帰後に外資系ベンターを経て再入社したという、異色のキャリアを歩んできた。
20代はプログラミングでモノができる喜びを追求し、30代はリーダーのポジションで顧客の経営者と関わり、多様な考え方に触れた。「さまざまな課題がある中で、この企業にとって一番重要なことは何かを掘り下げるのがコンサル能力。ポイントを示す力が付いてきたのがこの頃で、お客様に育てていただいた」というのが実感だ。
社員に対しては、失敗も含めた自身の経験を伝えている。介護も然り、コロナ禍も然り、少し前には想像もできなかったようなことが人生には起こり得る。そうしたときに、会社にぶら下がるのではなく、プロとして自分で考え動くことができる人間であるようにとの思いからだ。「フューチャーは評価のアップダウンにメリハリのある会社で、私自身降格したこともある。失敗したとしても腐らずに、どう考えて新しいチャレンジをするのかが、人生ではとても重要」と力を込める。これまでの経験を振り返り、「山あり谷ありだったので、伝えられることも多いかな」と朗らかに話す。
プロフィール
神宮由紀
(しんぐう ゆき)
1971年生まれ、長崎県出身。94年に長崎大学教育学部数学科卒業後、シティアスコムに入社。98年にフュ-チャーシステムコンサルティング(現フューチャー)に入社し、ITコンサルタントして主に流通サービス業の顧客を担当。14年間従事したのち、2012年に介護のため退職。14年、日本マイクロソフトに入社。17年にフューチャーに再入社し、フューチャーアーキテクトの執行役員に就任。19年3月26日より現職。フューチャーの取締役を兼務。
会社紹介
フューチャーグループのITコンサルティング会社。ITと経営を両軸とした業務改革支援を得意としている。フューチャー(旧フューチャーアーキテクト)の持ち株会社制移行に伴い、会社分割によって2016年4月に設立された。